2021年6月28日の特選銘柄

フィスコ社提供の今週のeワラント特選銘柄です。
提供:フィスコ社

<今週の東京株式市場見通し>

今週(6/28~7/2)の東京株式市場は引き続きもみ合いか。日経平均株価の週間予想レンジは28,500円~29,500円。

6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の一連の高官発言を受けた乱高下を消化し、指数は結局FOMC前にこう着感を強めていた29,000円水準にまで戻した後、同水準でのもみ合いを継続。乱高下した挙句イベント前と同水準で動かない様子を見る限り、売り方も買い方も積極的に動きにくいようだ。直近の物色動向も、景気敏感株からグロース・ハイテク株まで広く見渡しても突出して強い動きを見せているものは少なく、短期目線の投資家が循環物色をしているに過ぎない様子。

今週は、週半ばの30日に月末最終営業日の株安アノマリーが意識されるほか、週末には6月の米雇用統計を控えているだけに積極的に買いづらい状況が続く。一方、前週は週初に日経平均が1,100円を超す急落を見せたにも関わらず、即座に29,000円まで戻しただけに、売り方も積極的に仕掛けづらい。やはり、売り買いともに手掛けづらく、指数は引き続き一進一退となりそうだ。

米雇用統計も注目とはいえ、5月以降の物価や雇用関連の指標、FOMCを巡る一連の乱高下を経験しているだけに波乱要因にはなりにくい。労働供給側の大きな制約になっている失業保険の上乗せプログラムの失効効果が表れるのも次回7月分からと想定されているだけに、弱い数値が出てもサプライズにはなりにくいだろう。むしろ、米連邦準備制度理事会(FRB)の早期金融緩和の解除が遠のくとの見方からポジティブに捉えられる可能性もある。

一方、週後半にかけては中国で6月の製造業購買担当者景気指数(PMI)、米6月ISM製造業景気指数など経済指標が多く予定されている。昨年、コロナ禍からいち早く回復し世界経済をけん引してきた中国では弱くはなくても最近は指標に目立った強さがない。また、米ISMも好不況の50ptを大きく上回る60ptを4カ月連続で叩き出しているが、指標面ではそろそろピークアウトも意識される。メインシナリオではないが、仮に中国の景気指標とともに予想を大きく下振れるようなことがあると、景気回復のモメンタム鈍化が意識され、景気循環性の高い日本株を敬遠する動きに繋がるリスクがある点に留意したい。

他方、国内では週後半に6月日銀短観がある。日本経済新聞社がまとめた民間エコノミスト予想では、大企業製造業の業況判断指数(DI)はプラス15と3月のプラス5から一段と改善し、2年半ぶりの高水準を見込む。非製造業も大企業でプラス3と3月のマイナス1から改善し、5四半期ぶりにプラスに転じる予想という。中国のPMIや米ISMが市場予想を上回り、景気のピークアウトを感じさせない強い結果となると同時に、日銀短観も事前予想通りの良好な内容となれば、国内外の景況感の改善を背景に日本株の後押しとなる。7月下旬から始まる4-6月期決算への期待も高まろう。全体としてはイベント前後でもみ合い展開に変化がなく、投資家にはもうしばらく忍耐が求められそうだ。しかし、徐々にではあるが、株高の素地は整ってきていると思われる。

そのほか、2月期、8月期を本決算とする小売企業の決算が徐々に本格化する。週初28日は直近の月次動向から再評価の動きが出てきている、しまむら(8227)のほか、コロナ禍でのアウトドア需要を背景に今年に入ってからも株価が好調なヒマラヤ(7514)などが控える。29日にはJフロント(3086)、30日には観測報道で既に動意づいているニトリHD(9843)、アダストリア(2685)、週末7月2日には良品計画(7453)、アスクル(2678)、ハイデイ日高(7611)など注目企業が多い。ワクチン接種が加速しているなか、コロナ前の水準をいまだ回復できていないJフロント、アダストリア、ハイデイ日高あたりの動きには注目したい。

また週後半にはマルマエ(6264)や大阪有機(4187)など業績好調で上値追いの動きとなっている半導体関連株の決算もあり、こちらも内容はさることながら、出尽くし感となるのか素直に好感されるのか反応に注目したい。海外でもマイクロン・テクノロジーの決算が予定されており、良好な内容と株価反応であれば、東京エレクトロン(8035)など半導体関連株の刺激材料となりそうだ。

なお、今週は28日に日銀金融政策決定会合の「主な意見」(6月17~18日開催分)、29日に5月有効求人倍率、米6月消費者信頼感指数、30日に5月鉱工業生産、5月住宅着工統計、中国6月製造業PMI、米6月ADP全米雇用リポート、7月1日に6月日銀短観、6月新車販売台数、中国6月財新製造業PMI、米6月ISM製造業景気指数、2日に米6月雇用統計、米5月貿易収支、米5月製造業受注などが予定されている。

<今週の注目銘柄>

JPモルガン・チェース(JPM) コール 48回
権利行使価格150米ドル(原資産:152.51米ドル) デルタ:0.57

米連邦準備制度理事会(FRB)が24日に公表したストレステスト(健全性審査)の結果を通過し、JPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカ(BofA)など大手米銀は1,420億ドル(約15兆7,000億円)の資本を株主に還元する見通し。6月28日の市場取引終了後に資本還元計画を発表できる予定で、景気回復期待の復活に伴う景気敏感株を選好する地合いも相まって、還元姿勢を評価する動きが継続しそうだ。

日本製鉄(5401)コール 240回
権利行使価格1,900円(原資産:1,909.5円)デルタ:0.56

世界経済が急速に回復するなか多方面で使用される鉄鋼に対する需要が増大し、業績は前下半期から大きく回復。さらに、グループ会社の損益改善やコスト改善などが大きく進展し、今期は大幅な増益予想。ただ、中国政府の鉄鋼価格抑制策など、逼迫する市況を鎮静化させる動きを背景に株価もしばらく調整を余儀なくされていた。しかし、24日、バイデン米大統領が約1兆ドル規模の巨額インフラ投資計画で超党派の上院議員と合意したのをきっかけに、前週末の株価は久々に大幅高。26週移動平均線や100日移動平均線まで調整した後の反発であるだけに、トレンド転換を期待したい。

マイクロソフト(MSFT)コール 114回
権利行使価格260米ドル(原資産:266.69米ドル)デルタ:0.61

24日、パソコン用基本ソフト(OS)「ウィンドウズ」の最新版となるウィンドウズ11を発表。また、その2日前には史上2番目の米上場企業として時価総額2兆ドルを達成し、話題となった。クラウドコンピューティングとエンタープライズソフトウエアにおける圧倒的な優位性を背景に業績は好調で、株価についても強気の見通しが相次いでいる。


(提供:株式会社フィスコ)

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