2021年7月5日の特選銘柄

フィスコ社提供の今週のeワラント特選銘柄です。
提供:フィスコ社

<今週の東京株式市場見通し>

今週(7/5~7/9)の東京株式市場は上値の重い展開か。日経平均株価の週間予想レンジは28,000円~29,000円。

日本独自の株高材料に乏しいなか、引き続き米長期金利や米株式市場の動向を睨んだ展開となりそうだ。週初は、前の週末に発表された6月米雇用統計を受けた米株式・債券市場の動きを映した動きとなろう。また、週初5日の米株市場が独立記念日で休場となるため、雇用統計の消化には時間がかかりそうな点に留意したい。そのほか、7月前半の週には上場投資信託(ETF)の分配金捻出のための換金売りという需給要因の重しもある。主要なETFの決算日は8日、9日に集中しており、今年は全体で8,000億円規模の売りが想定されている。需給悪化から全体的に軟調な動きが予想される。

一方、米国での金融政策を巡る思惑には過度な警戒は不要とみている。前回の米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果が想定以上にタカ派だったとはいえ、米連邦準備制度理事会(FRB)が量的緩和縮小(テーパリング)の本格的な議論を開始するのは早くても8月のジャクソンホール会合とみられている。パウエルFRB議長も、6月下旬に行われた連邦議会下院での議会証言の際には、「秋には力強い雇用創出がみられるだろう」と話している。これは、秋頃までの雇用指標を確認するまでは拙速な判断を避けるとの考えを暗に示していると考えられる。秋頃の雇用指標となると、早くて9月3日発表の8月分の雇用統計だろう。これを確認した後の9月のFOMCで早ければテーパリングが正式に決定される。

これまでの各連銀総裁の発言の経緯から、FRB内でも意見がまとまっていないことは明らかだ。内輪で決まっていないことを、あれこれと余所者が考えても結果が出ないのは道理で、投資家が一方向に予想を傾けることは難しい。それ故、株式市場の見通しにも強気派と弱気派が混在するため、結局、売り方と買い方が拮抗するなか相場は上値が重いながらも底堅い基調を保つと予想する。

そのほか、明るい材料も散見される。先日発表された2021年4-6月期を対象とした日銀短観によれば、大企業の製造業および非製造業の業況判断(DI)は、「最近」、「先行き」ともに前回より改善した一方で市場予想は下回った。しかし、設備投資計画(前年比)は製造業で4倍超(3.2%から13.3%へ)、非製造業でも2.5倍超(2.9%から7.4%)へと大きく改善したうえ、市場予想もそれぞれ上回った。とりわけ、製造業の市場予想は9.2%だったため、上振れ度合いが大きい。

さらに、業種別でみると、半導体製造装置などを含む生産用機械や、自動車において「先行き」の改善が確認された。半導体はスマホやPCといった家電から、ゲーム機、電気自動車(EV)、高速通信規格「5G」、データセンターなどまで広範囲での需要増大に加え、サプライチェーンの乱れから需給の逼迫が来年後半まで続くとの見方も一部にあるなか、好況が裏付けられた形だ。加えて、日本半導体製造装置協会(SEAJ)が7月1日に、2021年度の日本製の半導体製造装置の販売額が20年度比で22.5%増の2兆9,200億円になるとの予測を発表している。1月時点の予測を4,200億円上回り、2年連続で過去最高を更新する見込みだ。

自動車も、足元は半導体不足でDIが悪化したが、今後は半導体不足が徐々に解消されることが想定され、先行きは改善する見込み。また、ドル円相場も1ドル=111円台半ばにまで円安が進展しており、主力企業の2021年度の想定為替レートが1ドル=105円台にあることを踏まえれば、上振れ期待に繋がる。

前週は、半導体関連でマルマエ(6264)が好決算ながらも出尽くし感で大きく売られた。しかし、上述の通り、半導体業界は活況で先行きも明るい。前倒し発注による在庫の過剰な積み上がりなどを気にする局面にもまだないと思われ、下げ一巡感がみられるところで中長期では押し目買いが妙味とみる。

そのほか、今週も引き続き小売企業を中心に決算が多く予定されている。前週は、しまむら(8227)、ニトリHD(9843)などが大幅高となり、小売決算ではポジティブ視する動きも散見された。今週も引き続き注目したい。

また、週後半には竹内製作所(6432)、SHIFT(3697)、安川電機(6506)など小売以外でも注目度の高い企業決算が予定されている。特に週末の安川電機の決算は内容が消化されるのは翌週となるが非常に注目だ。振り返ってみれば、前回の1-3月期決算では、好内容にもかかわらず市場予想に届かなかったことで安川電機の株価が急落。これを機にガイダンスリスクが意識され、その後の製造業決算に対する懸念が高まった。今回は、逆に懸念を振り払ってくれるような結果になるのか、それとも、前回の二の舞となってしまうのか、注目したい。

なお、今週は6日に5月家計調査、5月毎月勤労統計調査、米6月ISM非製造業景況指数、7日に5月景気動向指数、8日に6月景気ウォッチャー調査、9日に7月限オプション取引特別清算指数算出(SQ)、中国6月生産者/消費者物価指数、G20財務相・中央銀行総裁会議などが予定されている。

<今週の注目銘柄>

アサヒグループHD(2502) コール 107回
権利行使価格5,300円(原資産:5,206円) デルタ:0.51

国内ビールトップブランドの「スーパードライ」を展開する大手ビールメーカー。海外を中心としたM&Aに積極的で、20年6月には豪ビール最大手CUBを買収。国際事業の業績に占める比率は事業利益ベースで6割以上。今後は買収のシナジー効果が期待されるほか、欧州はロックダウン解除に伴う経済再開で回復に向かっているため、海外での飲料需要を大きく取り込めると期待している。

バンダイナムコHD(7832)プット 69回
権利行使価格8,000円(原資産:7,640円)デルタ:-0.53

ゲーム開発から、玩具まで幅広く手掛ける。知名度の高いIP(キャラクターなどの知的財産)を多く有していることにも強みをもつ。今後も堅調な業績推移が見込まれているが、短期的には巣ごもり需要の反動減などへの懸念から、ゲーム関連株の上値は重い展開が想定される。チャートも緩やかな下落トレンドが続いており、当面、軟調な動きが予想される。

三井不動産(8801)コール 144回
権利行使価格2,550円(原資産:2,611.0円)デルタ:0.59

国内でのワクチン接種は今後も更に進展する見込み。足元ではアフターコロナ関連銘柄を物色する動きが一服しているが、こうした動きは近いうちに再度起こると予想。アフターコロナ関連の中でも不動産セクターは業績回復への信頼感が高く、出遅れ感もある。中長期で期待している。


(提供:株式会社フィスコ)

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