フィスコ社提供の今週のeワラント特選銘柄です。
<今週の東京株式市場見通し>
今週(10/31~11/4)の東京株式市場は強含みか。日経平均株価の予想レンジは 26,700~28,200 円。
11月1日から米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される。10月21日のウォールストリート・ジャーナル紙の報道に加えて、その後のサンフランシスコ連銀のデーリー総裁やセントルイス連銀のブラード総裁の発言の変化を受けて、今会合では次回の12月会合での利上げ幅の縮小に向けた議論が行われる見通しだ。
一連の流れを受けて、フェデラルファンド(FF)金利先物市場が織り込むターミナルレート(政策金利の最終到達点)は一時2023年の3-5月時点で5.0%を超える水準にまで及んだが、その後、10月28日時点では同時期で4.7%強にまで低下した。このように、ある程度は織り込み済みではあるが、米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げ減速の明確なシグナルを送れば、市場は素直に好感するだろう。その場合、特に指数のショート(売り持ち高)が積み上がったままの米株式市場を中心に買い戻しが入りそうだ。東京市場でも、一時大きく積み上がっていた裁定買い残は大方解消された。年始からの海外投資家の先物ポジションがややネットショートに傾いていることを踏まえると、上方向に振れやすいと推察する。
一方で、上昇したとしても短期的なものに終わる可能性には留意しておきたい。理由は主に二つある。一つ目はスケジュール。今週末は米10月雇用統計の発表を控える。FRBが利上げ減速への地ならしを始めたとはいえ、依然としてデータ重視の姿勢は崩しておらず、今後も予想を上回る強いデータが多く出ると再び金融引き締め懸念が強まりかねない。特に、労働市場の逼迫に起因した賃金インフレが一番根強くFRBを困らせているため、雇用統計の注目度は非常に高い。そのため、指標を確認する前に大きく買い上がる向きは少ないだろう。翌週の8日には米中間選挙も控えているため、イベント前に持ち高を傾けることは考えづらい。
二つ目は企業業績。米IT大手のGAFAM決算はほぼ全敗だった。高いブランド力と包括的なサービス提供力を武器に相対的に好業績が期待された大手企業でも決算が冴えなかったことで、景気後退懸念は一段と強まっている。クレジットカード会社のアメリカン・エキスプレスや決済サービスのビザなどは好決算で、米国での力強い個人消費が確認されたが、この高い収益水準がいつまで続くかは不透明だ。GAFAM決算なども受けて、今後は米国で企業の10-12月期および来年度以降の業績予想の下方修正が進む可能性がある。株価の決定要因の一つである一株当たり利益(EPS)の低下が想定される中、実需筋の買いは期待しにくい。
短期的にはFRBの金融政策の「ピボット(転換)」を受けた米長期金利の一段の低下と株価収益率(PER)の上昇が見込めそうだが、こちらの持続性は雇用統計、そして翌週に控える米10月消費者物価指数(CPI)次第となろう。引き続き高い変動率(ボラティリティー)に注意を払いたい。
国内では決算発表が佳境を迎える。31日の村田製作所(6981)、コマツ(6301)のほか、11月1日のトヨタ自動車(7203)、ソニーグループ(6758)、三井物産(8031)、日本製鉄(5401)、ローム(6963)、2日のエムスリー(2413)などが注目されよう。トヨタ自動車の決算では、自動車生産台数の下振れなどはすでに10月下旬に伝わっているため、部材不足の解消と生産正常化の時期の明確化やコスト増加の変化幅などが焦点となってこよう。三井物産は業績予想の上方修正や自社株買いなどの株主還元の有無とそれらの規模が注目される。
なお、今週は31日に9月鉱工業生産、9月住宅着工統計、中国10月製造業/非製造業購買担当者景気指数(PMI)、11月1日に10月新車販売台数、中国10月財新製造業PMI、米10月ISM製造業景気指数、米FOMC、2日に日銀金融政策決定会合議事要旨(9月21-21日開催分)、米パウエル議長記者会見、3日に英国金融政策委員会、米10月ISM非製造業景気指数、4日に米10月雇用統計などが予定されている。
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<今週の注目銘柄>
メタ・プラットフォームズ(META)プット154回
権利行使価格110米ドル(原資産:97.94米ドル)デルタ:-0.54
第3四半期の決算はある程度は想定線とはいえネガティブな内容だった。四半期売上高としては2四半期連続での前年同期比での減収となったほか、収益化の目処が立っていないメタバースへの先行投資の更なる拡大が示された。Facebookなどのユーザー数の積み上がりにも限界が見えてきている中、業績のけん引役が見当たらない。メタバースの収益化の道筋が示されるまでは、株価は上値の重い展開とならざるを得ないだろう。
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イビデン(4062)コール146回
権利行使価格5,250円(原資産:5,090円)デルタ:0.50
第2四半期(7-9月)営業利益は前年同期比20.8%増の233億円で、市場予想を50億円程度上回った。また、通期予想は従来の670億円から730億円、前期比3.1%増と一転増益見通しに上方修正した。パッケージのサーバー比率向上などによって、電子セグメントが上振れて推移しているようだ。依然として市場予想並みの水準だが、前年同期比で11.8%減となっている下期計画は保守的とみられ、さらなる上振れへの期待が株価をサポートしよう。
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オムロン(6645)プット83回
権利行使価格6,600円(原資産:6,808円)デルタ:-0.38
7-9月期営業利益は前年同期比49.2%増と4-6月期の同53.8%減から増益に転換、また、通期計画も従来の会社計画未達とみていた市場予想に反して増額修正するなど、一見、ポジティブなサプライズが伴う決算だった。一方、FA(Factory Automation)市況には明確な減速が見られるなどと会社側からはコメントがあったもよう。決算発表後の株価の反応も良くない。受注の底入れが見えるまでは当面は株価の上値は重くならざるを得ないだろう。
(提供:株式会社フィスコ)
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