フィスコ社提供の今週のeワラント特選銘柄です。
<今週の東京株式市場見通し>
今週(11/14~11/18)の東京株式市場は上値を試す展開か。日経平均株価の予想レンジは27,800~29,200円。
先週末は米10月消費者物価指数(CPI)の予想以上の減速を受けた米国株の急伸劇を追い風に東京市場でも買いが広がり大幅高となった。今週もインフレ減速・金融引き締め懸念後退を好感した動きで上値を試す展開が予想される。15日に米10月卸売物価指数(PPI)が発表予定で、CPIに続きコア指数の減速が確認されれば株式市場は一段高となるだろう。ただ、石油輸出国機構(OPEC)プラスによる協調減産や根強い中国での「ゼロコロナ」政策の緩和期待を背景に原油市況が9月下旬以降はじりじりと下値を切り上げているため、ヘッドラインインフレの上振れには注意が必要だ。
米10月CPIの方もコア指数が大きく減速したとはいえ、前年比ではまだ+6.3%と高い水準だ。また、サービス分野の項目をみると、医療サービスが前月比-0.6%と9月(+1.0%)から大きく減速し、これがコア指数の押し下げとして働いたことが分かる。ただ、CPIの3割以上と最も大きい構成比を占める住居費は+0.8%と9月(+0.7%)から加速している。相関性の高いS&Pコア・ロジック・ケース・シラー住宅価格指数などの米住宅価格の代表的な指標は今年4月をピークに減速しているため、1年程遅れて動く遅行性を踏まえれば、住居費の減速も時間の問題だが、1年から1年半の遅行性を踏まえると住居費の減速にはまだ時間がかかる見通しだ。今後、コアCPIが前年比で+6.0%台をしぶとく維持する可能性もあり、中長期では警戒も怠れない。
しかしそれでも、今回のコアCPIの減速度合いはモメンタム勢を強気にさせるにはかなり強力な材料となっており、株式の先行きに対する強気派の勢いは簡単には萎まないだろう。このため、15日の米10月PPIが多少予想を上回る程度ではインフレ減速・金融引き締め懸念後退への期待は衰えず、週末の米国版SQ(特別清算指数)算出日までは売り方の買い戻しを巻き込みながら上昇基調が続くと考えられる。東京市場でも、日経平均でいえば28,500円水準までは実需筋の買い戻しで上昇し、その先は商品投資顧問(CTA)などのトレンドフォロー型ファンドによる一段の買い持ち高の積み上げにより29,000円タッチはありえそうだ。
先週末は地合いの影響が大きいだろうが、業績予想を下方修正した東京エレクトロン(8035)が急伸しており、半導体関連株のあく抜け感を想起させるような動きとなった。こうした中、今週は米国時間で16日にエヌビディアが、17日にはアプライド・マテリアルズが決算を予定している。内容が悪いであろうことはすでに分かっているため、焦点は東京エレクトロンと同様にあく抜け感が強まるかどうかだろう。それ以前の話ではあるが、東京エレクトロンの株価が週明け以降もしっかりと続伸できるかも重要なポイントとなってこよう。関連株のあく抜けが強まれば指数寄与度の大きい銘柄が多いだけに、相場全体を押し上げることにもつながろう。
一方で、懸念材料が何もないわけではない。今週は15日にホームデポ、ウォルマート、16日にロウズ、ターゲット、17日にギャップ、メーシーズの決算が予定されている。インフレ下で個人消費が減速しつつある中、小売企業は需給の読み違いで大量の在庫を抱えており、今年は年末商戦を前倒しすることで在庫処分に勤しんでいる。ただ、それでも年末商戦は不振に終わる可能性があると指摘されており、今週の米小売企業の決算はやや注意が必要だ。ほか、米中の10月小売売上高や鉱工業生産、米11月各連銀製造業景気指数なども注目される。業績下方修正や在庫処分の遅滞が判明すれば、景気悪化・企業業績悪化への懸念が強まり、相場のムードを一変させる可能性もある。
相場は短期的には強含みで推移し、一段高もあり得ることをメインシナリオとするが、同時にリスクも常にあることを想定しておきたい。
今週は15日に7-9月期国内総生産(GDP)速報値、中国10月鉱工業生産、中国10月小売売上高、米10月PPI、米11月ニューヨーク連銀製造業景気指数、16日に9月機械受注、米10月小売売上高、米10月鉱工業生産17日に10月貿易収支、米10月住宅着工件数、米11月フィラデルフィア連銀製造業景気指数、18日に10月全国消費者物価指数、米10月中古住宅販売、などが予定されている。
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<今週の注目銘柄>
アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)コール114回
権利行使価格75米ドル(原資産:68.47米ドル)デルタ:0.46
米10月コアCPIの大幅な減速を受けて米長期金利が大幅に低下する中、ハイテク・グロース株の買い戻しが強まっている。特に半導体関連については先週末の東京市場で業績予想を下方修正した東京エレクトロンが急伸するなどあく抜け的な動きを見せたこともあり、目先は強含みが期待できそうな状況になっている。同社についてはデータセンタ向けの堅調さやPC向けCPUの在庫調整の進展などポジティブな材料も見られており、これまで極端に売られてきた半導体関連の中でも特に注目したい。世界半導体売上高や国内鉱工業生産における電子・部品デバイス工業の出荷・在庫バランスなどからも関連株の底入れが示唆されており、半導体関連からは目が離せない状況になってきた。
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クボタ(6326)プット78回
権利行使価格1,850円(原資産:2,008.0円)デルタ:-0.32
9日の第3四半期決算時に通期計画を2,600億円から2,400億円、前期比2.5%減益にまで下方修正した。主力の北米市場における小型トラクタの需要減少のほか、突如として半導体不足などサプライチェーン混乱の影響が発生したもよう。これまでの全体の決算を受けて、サプライチェーン混乱の影響は大方解消されている印象があっただけにネガティブサプライズだ。業界共通というより同社固有の問題と思われ、さらに完全な解消の目処が立っていないことなどから、当面株価は厳しい展開とならざるをえないだろう。
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住友商事(8053)コール92回
権利行使価格2,300円(原資産:2,179.0円)デルタ:0.42
4日に発表した23年3月期第2四半期決算では、エネルギートレード、輸送機・建機、鋼管の好調を背景に7-9月期税引き前利益が市場予想を大幅に上振れた。通期純利益計画は3,700億円から5,500億円、前期比18.6%増にまで大幅上方修正し、年間配当金も90円から115円に増額した。さらに、「DOE(株主資本配当率)3.5%~4.5%」「配当性向30%」を目安に掲げ、「当期利益実績の 30%相当部分が上記範囲を超過した場合には、当該超過部分に対する配当あるいは自己株式の取得を柔軟かつ機動的に実施」としており、配当の下限レベルが引き上がったことを示唆。商社株の中では株主還元が相対的に劣るイメージがあったが、キャッチアップする動きとして評価できるだろう。
(提供:株式会社フィスコ)
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