2022年11月21日のeワラント特選銘柄

フィスコ社提供の今週のeワラント特選銘柄です。

<今週の東京株式市場見通し>

今週(11/21~11/25)の東京株式市場は強含みか。日経平均株価の予想レンジは27,500~28,500円。

米国の10月物価指標の明確な減速を受けて米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げペース減速の期待が根強く残る中、株式市場は強含みで推移しやすいだろう。一部のFRB高官からは利上げ停止には程遠いなどとタカ派的な発言が出ているが、すでにFRB自身がこれまでの利上げの累積効果を見極める必要性から利上げペースを落とすことに言及しており、利上げ停止時期も大よその見当はついている。一連の高官発言を受けて、ターミナルレート(政策金利の最終到達点)が5%前後になるであろうことも織り込み済みであるほか、来年の世界経済の景気後退懸念を背景に、米長期金利の上昇余地も限られてきたとみられる。米10年債利回りが4%を下回って推移している間は、グロース株を中心に株式市場の堅調推移が続きそうだ。

東京証券取引所が発表する投資部門別売買状況によると、海外投資家は11月第2週(7-11日)、現物株を5,031億円買い越した。前の週は4,039億円の買い越しで、現物株は3週連続の買い越しとなる。年始から海外勢による日本株の売り越し基調が続いていたが、ようやく、そうした動きは一服したようだ。なお、第2週時点での海外勢の年始からの売り越し累計額は約2兆4,840億円となっている。来年、世界経済の景気後退色が強まると予想される中、世界の景気敏感株とも称される日本株をどこまで買ってくるかを予想するのは難しいが、金額ベースでは買い戻し余地はまだ十分に残されているといえる。

中国で習近平国家主席の3期入りが果たされ、企業への規制強化などが警戒される中、海外投資家がポートフォリオに占めるアジア株の内訳に関して、中国株から日本株へ移し替える動きが強まっているとの指摘も聞かれる。一方、米国金利の上昇余地が小さくなってきたことで、日米金利差拡大を背景とした投機筋のドル買い・円売りの動きが一服しており、為替は足元でやや円高・ドル安基調に転じている。日本の輸出企業の業績上振れ度合いが小さくなることにはなるが、ドル建て日経平均のパフォーマンスが改善することで、海外投資家が日本株を買いやすくなったともいえる。

東京証券取引所が16日に発表した11月11日時点での裁定取引に係る現物ポジションは、前週末比178.63億円減(売り越し)とネットベースで194.44億円の売り越しとなった。 9月半ばには1兆2,000億円超の買い越しとなっていた時もあり、裁定買い残が大きく解消されたことは需給面での重石が解消されたことになる。

このように、日本株を巡る環境は悪くない。米国株もやや上値が重くなってきてはいるが、下値の堅さも確認されており、根強いFRBの利上げペース減速期待を背景に強含みで推移することが見込まれる。米国株が上値を試す展開となれば、日本株もそれにしっかり付いていく展開が期待されよう。

今週は23日に米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(11月1-2日開催)が公表されるが、特段のサプライズはないと思われる。そのほか、特別大きなイベントはなく、全体的に新規の手掛かり材料に欠ける状況が想定される。こうした中、決算発表が一巡したタイミングでもあるため、改めて好業績を発表した銘柄などに物色の矛先が向かうと考える。また、先週に発表された訪日外国人観光客数の統計を受けて、調整が続いていたリオープン・インバウンド関連銘柄が再び持ち直してきている。関連株への物色余地も残されていると期待している。

今週の予定は21日に10月首都圏マンション販売、22日にベスト・バイ、ダラー・ツリーの決算、23日に東京市場休場(勤労感謝の日)、米FOMC議事録(11/1~2開催分)、米10月耐久財受注、米10月新築住宅販売、24日に米国市場休場(感謝祭)、25日に11月都区部消費者物価指数、米ブラックフライデーなどとなっている。


<今週の注目銘柄>

キャタピラー(CAT)コール118回
権利行使価格210米ドル(原資産:230.44米ドル)デルタ:0.72

2022年12月期第3四半期(7-9月)の売上高は前年同期比21%増、一株当たり利益(EPS)は同48%増だった。建設機械、鉱山機械、エネルギー・輸送の3事業すべてで2ケタ台の増収営業増益となり、総じて好調だった。原材料費高騰やドル高の影響で苦しむ企業が多い中、値上げや販売量の増加でカバーし、営業利益率を改善させた点も評価できる。エネルギー市況の高止まりで鉱山開発需要は底堅く推移する見込みであるほか、北米ディーラーの在庫は低水準であるため、販売拡大余地はありそうだ。会社側は今後もコスト増加に対しては値上げで相殺する方針で、良好な需給環境を考慮すれば、値上げはしっかりと進展するだろう。

ソフトバンクグループ(9984)プット502回
権利行使価格5,800円(原資産:6,075円)デルタ:-0.36

11日に2023年3月期上半期決算を発表、税引前損益は2,926億円の黒字となった。アリババ株式先渡し契約決済益の計上などで7-9月期税引き前利益は3兆5,851億円となり、第1四半期の大幅損失を吸収した。ただ、決算数値にサプライズはなく、むしろ、ビジョンファンドでの大幅な損失の計上、追加の自己株式取得発表がなかったことが失望感を誘った。1億ドル弱出資しているFTXトレーディングの経営破綻など警戒された。チャートは決算を機に崩れており、追加の自社株買いの発表などがない限り、当面上値は重いだろう。

資生堂(4911)コール89回
権利行使価格5,900円(原資産:5,882円)デルタ:0.53

10日に2022年12月期第3四半期決算を発表。7-9月期コア営業利益は前年同期比2.8倍の187億円となり、第2四半期までの減益基調から急改善した。100億円程度の市場予想も大幅に上回った。日本や中国での販売が急回復していることが背景。戦略投資の拡大や材料費上昇の影響などを考慮して、通期予想は前期比6.0%減の400億円を据え置いているが、第3四半期までの累計で362億円に達しており、上振れ期待が高まっている。

(提供:株式会社フィスコ)

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