2022年11月28日のeワラント特選銘柄

フィスコ社提供の今週のeワラント特選銘柄です。

<今週の東京株式市場見通し>

今週(11/28~12/2)の東京株式市場はもみ合いか。日経平均株価の予想レンジは27,500~28,800円。

米国の10月物価指標の明確な減速を背景としたインフレ減速・利上げペース減速への期待は根強く、大勢は株式市場の底堅さが続くと考えられる。一方、週末には米11月雇用統計の発表を控える。12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)前の重要指標の一つであり、注目度は高い。平均賃金の伸びや雇用者数の伸びが予想を上回ると、足元の金利低下・株高のトレンドが転換する可能性がある。結果を見極めたいとの思惑から、週末にかけては持ち高調整の動きが出やすく、足元で上昇が続いていたグロース株などには利益確定売りが強めに出る可能性がありそうだ。

また、今週は中国の購買担当者景気指数(PMI)や米サプライマネジメント協会(ISM)が発表する製造業景気指数、米地区連銀経済報告(ベージュブック)など注目材料が多くある。市場の関心はすでに金融政策そのものよりも、企業業績の悪化など実体経済の動向に移っているため、低調な指標結果となると、景気後退懸念が強まる形で相場の重石となる恐れがある。

ISM製造業景気指数は前回10月が50.2と、拡大・縮小の境界値である50より上をかろうじて維持したが、今回11月分での市場予想は49.8となっている。米連邦準備制度理事会(FRB)はインフレ抑制のために景気減速は止む無しとのスタンスを維持しているため、50割れとなれば、素直に景気後退の兆候として嫌気されそうだ。

中国のPMIは11月30日に国家統計局が発表する製造業と非製造業が、12月1日には財新とマークイットが発表する民間版の製造業部門の統計が公表されるが、すべて前月からの横ばい、ないしは悪化が予想されており、共に拡大・縮小の境界値である50割れが続く見込みとなっている。中国では一時、新型コロナ感染抑制を目的とした「ゼロコロナ」政策の緩和への期待が高まっていたが、その後の感染急拡大によって都市封鎖が一部で再開されている。当局による景気対策への期待もあるが、これまでに実施済みの政策の効果はほとんど表れておらず、ゼロコロナ政策を緩和しない限り、本格的な景気回復は望めないだろう。こうした中、低調な指標結果は世界景気の減速として相場の重石となろう。

先週末金曜日のブラックフライデーから米国では年末商戦が本格化している。今週月曜日にはサイバーマンデーもあるが、インフレ環境下での消費者の支出抑制の動きから、年末商戦が低調に終わる可能性も指摘されている。売れ行きが徐々に明らかになるにつれ、景気後退への警戒感が高まるリスクも捨てきれず、注意したい。

今週のスケジュールは28日に米サイバーマンデー、29日に10月失業率・10月有効求人倍率、米9月S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数、米11月CB消費者信頼感指数、30日に10月鉱工業生産、中国11月製造業・非製造業PMI、米11月ADP雇用統計、米7-9月期GDP改定値、米10月雇用動態調査(JOLTS)、米ベージュブック、12月1日に7-9月期法人企業統計、中国11月財新製造業PMI、米10月個人消費支出(PCE)・個人所得・PCEコアデフレータ、米11月ISM製造業景気指数、2日に米11月雇用統計となっている。


<今週の注目銘柄>

ホンダ(7267)プット268回
権利行使価格3,250円(原資産:3,370円)デルタ:-0.40

二輪事業は堅調も、課題の四輪事業の収益性が依然として高まってこない。自動車業界では半導体不足による生産調整も長期化しており、生産状況が本格的に元に戻る頃には世界経済の景気後退により需要が落ち込んでいるリスクもある。また、FRBによる利上げペースの減速、ひいてはその先の利上げ停止も視野に入る中、これまで追い風となってきた為替の円安・ドル高トレンドも一服してきている。今後は為替の反転も予想される中、支援要因が一つなくなることの持つ意味は大きいだろう。

ダイキン工業(6367)コール204回
権利行使価格2,2000円(原資産:22,815円)デルタ:0.61

7-9月期業績は前年同期比で30%強の増収・営業増益と良好な決算だった。米州やアジアを中心に世界各地域での販売動向が好調で、値上げもしっかり進展した。大気中の熱を集めてエネルギーを生み出すヒートポンプは特に「脱炭素」化への移行において需要が高まっており、今後の拡販余地も大きい。下期計画では為替前提などが保守的で上振れも期待される。好調な業績と上振れ期待を背景に株価は底堅く推移するだろう。

村田製作所(6981)プット223回
権利行使価格7,500円(原資産:7,682円)デルタ:-0.41

積層セラミックコンデンサー(MLCC)は自動車の電装化による搭載量の増大などで中長期的には需要の拡大が見込まれる。しかし、足元ではパソコンやスマートフォンなど民生向け市場の急速な冷え込みにより、全体としてはMLCCの市況も足踏みの状況となっている。受注動向においてはまだ底入れの兆しが見られておらず、もう数四半期は様子見が必要だろう。この間、株価はさらなる悪材料を織り込む形で調整を強いられる可能性がある。

(提供:株式会社フィスコ)

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