フィスコ社提供の今週のeワラント特選銘柄です。
<今週の東京株式市場見通し>
今週(11/7~11/11)の東京株式市場は軟調か。日経平均株価の予想レンジは26,400~27,500円。国内では7-9月期決算がピークを迎えるため、全体相場の上値が重い中、決算を受けた個別株物色が活発化しそうだ。週初は前の週末に発表された米10月雇用統計の結果を反映することになる。雇用者数と平均賃金の伸びが市場の予想通り共に9月から減速していれば、市場の警戒感は緩和されよう。
1-2日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)では予想通り4会合連続での0.75ptの利上げが決定された。また、想定通り今後の利上げペース減速を示唆する文章も声明文に盛り込まれた。一方、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は記者会見で「利上げ停止の検討は時期尚早」、「前会合以降に入手したデータは政策金利が従来想定以上よりも高くなることを示唆している」などと発言。これを受けて、市場が抱いていたFRBのハト派転換期待は剥落した。
3日、フェデラルファンド(FF)金利先物市場が織り込むターミナルレート(政策金利の最終到達点)は来年5月頃をピークとする形で5.2%弱まで上昇し、米10年債利回りも同日、4.15%まで再び上昇してきた。ただ、10月下旬に一時上回った4.3%台にまではまだ距離があり、金利の上昇余地は多分に残されていると見受けられる。雇用統計で平均賃金の伸びなどが上振れていた場合、金利の上昇を通じて株式の売りが一段と強まるだろう。
また、今週はイベントが盛り沢山だ。8日には米中間選挙が予定されており、10日には米10月消費者物価指数(CPI)が発表予定。中間選挙では下院で野党・共和党が過半数の議席を獲得することが見込まれており、上院は接戦の予想となっている。仮に、共和党が上下の両院で過半数を獲得すると、民主党のバイデン大統領の提案する政策の多くが成立にあたって難航することになる。
ただ、インフレが問題になっている中、政策審議が難航する方がかえって財政政策によるインフレ加速という悪いシナリオの実現可能性が低くなるため、好都合とも捉えられる。また、過去を振り返ると、中間選挙の結果がどうであれ、選挙が実施される11月から翌年4月までのS&P500指数の株価パフォーマンスは良好という経験則が市場では知られている。こうしたアノマリーが意識される形で、相場が底堅く推移する可能性も残されていよう。この場合、米10月雇用統計と米10月コアCPIで指標の減速が確認されれば一段高のシナリオもあり得る。
一方、雇用統計もコアCPIも予想を上回るとなると、FOMC後の売りの流れが続き、相場は下値模索の展開となる恐れがある。この場合、中間選挙で上下両院を野党・共和党が制していると、アノマリーを無視する形で債務上限問題など悪い部分だけがクローズアップされ、相場が荒れ模様となる可能性にも留意したい。
今週は7日に中国10月貿易収支、8日に日銀金融政策決定会合の主な意見(10/27~28開催分)、9月家計調査、9月景気動向指数、米中間選挙、9日に10月景気ウォッチャー調査、中国10月CPI、10日に10月工作機械受注、米10月CPI、11日にオプションSQ、10月企業物価指数、米11月ミシガン大学消費者信頼感指数などが予定されている。
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<今週の注目銘柄>
アマゾン・ドット・コム(AMZN)プット166回
権利行使価格80米ドル(原資産:89.30米ドル)デルタ:-0.30
年末商戦の時期が含まれる第4四半期(4Q)の見通しは売上高が1,400-1,480億ドル、営業利益は0-40億ドルのレンジ予想とされたが、事前の市場予想(売上高1,555億ドル、営業利益47億ドル)をともに下回った。また、成長柱でもあるクラウドのAWS事業の増収率の減速傾向が継続(1Q:37%、2Q:33%、3Q:27%)。インフレ下で個人は消費の絞り込みをしていることを踏まえれば、ネット通販事業の成長加速もこの先見込みにくく、当面は株価上昇に繋がるカタリストに不足しているといえる。
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サイバーエージェント(4751)プット150回
権利行使価格1,100円(原資産:1,093円)デルタ:-0.45
10月26日に発表した22年9月期決算では、営業利益が前期比33.8%減の691億円となり、従来計画の700億円を下回った。また、23年9月期は400-500億円のレンジ予想としており、市場予想(670億円程度)を大きく下回る大幅減益継続の見通し。過去の傾向から低調なガイダンスは想定線ではあるが、減益幅は大きくネガティブな印象は否めない。ゲーム事業の改善やAMEBA事業の赤字幅縮小トレンドなど評価できる点もあるが、その後、ユーロ円建転換社債(CB)型新株予約権付社債の発行を発表し、一株当たり利益の希薄化なども嫌気されている。ゲーム事業では今後、他社IPで有力タイトル3本を予定しており、一段の改善が確認されるまでは、株価の上値は重いだろう。
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AGC(5201)プット143回
権利行使価格4,100円(原資産:4,225円)デルタ:-0.41
2日に第3四半期決算を発表。累計営業利益は前年同期比2.5%増の1,521億円となり、上半期2割超の増益から増益率は大きく鈍化。また、通期予想は従来の2,300億円から1,900億円、前期比7.8%減に下方修正した。塩ビ樹脂の販売価格下落、液晶用ガラス基板の出荷減少、原燃材料価格の高止まりなどが要因。欧州経済のスタグフレーション(物価上昇と景気後退の併存)色が強まる中、欧州での売上高比率が高いこともあり、業績の底入れには時間がかかりそうだ。
(提供:株式会社フィスコ)
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