2022年12月12日の特選銘柄

フィスコ社提供の今週のeワラント特選銘柄です。

<今週の東京株式市場見通し>

今週(12/12~12/16)の東京株式市場は神経質な展開か。日経平均株価の予想レンジは27,000~28,500円。13-14日に開催される米連/邦公開市場委員会(FOMC)を受けて振れ幅の激しい展開となりそうだ。

13日には米11月消費者物価指数(CPI)も発表される。食品・エネルギーを除いたコア指数では前月比+0.3%と10月(+0.3%)から横ばいが予想されているが、前年同月比では+6.1%と10月(+6.3%)から減速する見込みだ。前回のように市場予想を下回る伸びとなれば、インフレ減速期待を高めることになり、投資家心理を下支えしよう。

一方、FOMCは波乱含みの結果が予想される。多くの米連邦準備制度理事会(FRB)高官は政策金利を最終的に5%を超える水準にまで引き上げる見解を示している。しかし、景気後退懸念を反映してか、フェデラルファンド(FF)金利先物市場は来年5月頃をピークに4.9%程度の織り込みにとどまっている。その上、来年半ば以降の利下げ転換まで予想している。

確かに、11月以降、FRBのスタンスには徐々に変化が見られている。FRB内でもタカ派色の濃かったパウエル議長でさえ、同月下旬に開催されたイベント講演では行き過ぎた利上げがもたらす影響に懸念を示していた。ただ、依然としてインフレ圧力は根強く、利上げ停止は時期尚早との見解も維持した。つまり、利上げの影響を見極めるために、利上げ幅は縮小していくが、利上げ自体は継続していくということであり、利上げ停止の決断までのハードルは依然として高いことが示唆されている。

実際、米11月雇用統計で平均賃金の伸びが前月比+0.6%と市場予想(+0.3%)を大幅に上回ったほか、米11月ISM非製造業景気指数の支払価格の項目は70と拡大・縮小の境界値である50を依然として大幅に上回るなど、FRBがインフレファイターの姿勢を軟化させるには材料が十分でないとも考えられる。仮に、市場の予想通り、来年3月会合での利上げが最後になったとしても、インフレがFRBの目標である2%程度にまで低下してくることが濃厚になってくるまでは、しばらくは高水準の金利が据え置かれたままになる可能性が高い。

実際に将来のその時点になってみれば、深刻な景気後退に迫られて早期の利下げ転換を強いられるシナリオが実現することは十分に考えられるとしても、少なくとも今月開催されるFOMCの時点では、そうしたシナリオを匂わすことはしないだろう。将来はともかく、今現在のFRBが自ら政策のフリーハンドを手放すようなことをするとは考えにくい。

そのため、今回のFOMCで示される政策金利・経済成長見通しには注意が必要だ。11月28日、ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は来年末の見通しとして個人消費支出(PCE)デフレータの伸び率で3.0-3.5%、失業率で4.5-5.0%との見解を示していた。いずれも前回9月FOMCでFRBが公表した見通し中央値(2.8%、4.4%)より高く、スタグフレーション(物価高と景気後退の併存)的な予想だった。米11月ISM製造業景気指数が50を下回った際には景気後退を警戒し、神経質に株式市場が下落した姿が思い出されるが、今回のFOMCでこうしたスタグフレーション的な見通しを示された場合にどう反応するかには注意が必要だろう。来年の景気後退が警戒されつつある中、仮にFOMCの結果がマイルドなものに終わったとしても、あく抜け感による上昇がどこまで続くかは不透明と言わざるを得ない。 今週のスケジュールは12日に11月企業物価指数、10-12月法人企業景気予測調査、13日に米11月CPI、米FOMC(-14日)、14日に12月日銀短観、10月機械受注、パウエルFRB議長会見、15日に11月貿易収支、中国11月鉱工業生産、中国11月小売売上高、英国金融政策委員会、欧州中央銀行(ECB)定例理事会、米12月ニューヨーク連銀製造業景気指数、米12月フィラデルフィア連銀製造業景気指数、米11月鉱工業生産、米11月小売売上高、などとなっている。


<今週の注目銘柄>

リクルートホールディングス(6098)プット 130回
権利行使価格4,400円(原資産:4,282円)デルタ:-50


求人検索「Indeed(インディード)」などから成るHRテクノロジーの成長ポテンシャルはまだまだ高いと思われる。ただ、短期的には、未だ逼迫が続いている米国の労働市場も少しずつだが需給が緩和してきており、需要の水準は依然高くも、伸び率、モメンタムとしては事業環境はすでにピークアウトしていると考えられる。再び株価が上向くには当面材料難とみられ、しばらくは上値の重い展開が続きそうだ。

日立製作所(6501)コール 305回
権利行使価格7,400円(原資産:7,102円)デルタ:0.46


買収したグローバルロジック社の順調な売上成長や日立エナジーの受注好調さなどを背景に足元の業績推移は好調。注力するIoTビジネスで高成長を続けている「Lumada(ルマーダ)」の領域拡大余地は広く、ポテンシャルも注目される。DXやGXといった成長キーワードに絡む事業展開から今後も成長確度が高く、中長期で期待できる企業だ。

LIXIL(5938)プット 92回
権利行使価格2,150円(原資産:2,099円)デルタ:-0.51

上半期決算時には、原材料費の上昇や中国や米国での販売低迷などを要因に、業績予想を大幅に下方修正しネガティブサプライズを引き起こした。来期は価格改定効果の通年寄与などで業績回復が予想されるが、海外での需要動向などには不透明感がくすぶる。業績回復の兆しを今後の決算で確認するまでは、当面株価は膠着感の強い展開を強いられるだろう。


(提供:株式会社フィスコ)

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