フィスコ社提供の今週のeワラント特選銘柄です。
<今週の東京株式市場見通し>
今週(12/19~12/23)の東京株式市場は軟調な展開が予想される。日経平均株価の予想レンジは26,500~28,100円。
13-14日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)では見通しとして、2023年末の政策金利中央値が前回9月時点の4.6%から5.1%へと引き上げられた一方、23年の経済成長率見通しは0.5%へと下方修正された。FOMCの直前にフェデラルファンド(FF)金利先物市場が織り込んでいた政策金利水準は来年5月頃をピークに4.8%程度で、23年末では4.3%程度となっていた。来年後半には0.25ptの利下げが2回行われると予想していたと考えられ、今回、FOMCが示した見通しと大きな乖離がある。また、23年末の金利水準として5.4%以上を望むメンバーが7人もいたことも踏まえると、FRBのタカ派スタンスは非常に強い。
さらに、今回の0.5ptの利上げにより、政策金利(FF金利)の誘導目標レンジは4.25-4.50%へと引き上げられたにもかかわらず、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は会見で、「いまだ十分に景気抑制的な政策スタンスではない」、「インフレが2%に向かうとの確信が持てるまでは利下げは有り得ない」などと発言し、市場の利下げ期待をけん制した。
15日、欧州中央銀行(ECB)も米連邦準備制度理事会(FRB)に続き、利上げ幅を0.5ptへと縮小した上で追加利上げを決定。ただ、ラガルド総裁はインフレの水準は依然高すぎるとし、沈静化に向けて同様の利上げがしばらく続くと投資家に警告。今回の利上げ幅の縮小を「ECBの政策転換だと考えるのは誤りだ」とタカ派な姿勢を強調した。
一方、米11月小売売上高は前月比-0.6%と市場予想(-0.2%)を大幅に下回り、10月(+1.3%)から大幅に減速。自動車とガソリンを除いた基準でも-0.2%と市場予想(+0.0%)と10月(+0.8%)を大きく下回った。また、米11月鉱工業生産も前月比-0.2%と市場予想(+0.0%)を下振れた。さらに、企業のセンチメントを示す米12月ニューヨーク連銀製造業景気指数は-11.2と予想(-1.0)を大幅に下振れ、米12月フィラデルフィア連銀景況指数も-13.8と予想(-10.0)を下振れた。
インフレは既に伸び率ではピークアウトしているものの、水準としては依然として各国中央銀行の目標を大幅に上回っている。世界的な金融引き締めが長期化する公算が大きくなっている一方で、経済指標には減速の兆しが見られはじめていて、今後は来年前半にかけて、景気後退・企業業績悪化を織り込む動きが加速していくことが懸念される。
こうした中、米国では20日に物流大手フェデックス、スポーツアパレルブランドのナイキ、21日には半導体メモリ大手のマイクロン・テクノロジーの決算が予定されている。フェデックスは9月に、世界的な輸送需要の低下を背景に収益見通しを下方修正し、景気後退懸念を強めた経緯がある。ナイキは供給網の逼迫による商品納入の遅延を要因に、在庫が積み上がり、値引き販売を強いられる形で粗利益率の悪化が懸念されている。また、マイクロン・テクノロジーはメモリ市況の急速な落ち込みを背景に、8月から見通しの下方修正が続いている。これら企業の決算は相当程度警戒されているとはいえ、内容が悪ければ、来年の景気後退を織り込む動きが加速していきそうで、注意したい。
ほか、需給面でも懸念要素はある。ノムラ・セキュリティーズ・インターナショナルのクロスアセットストラテジストは、S&P500種株価指数が15日に3,895.75で引けた中、同指数が3,933を下回った推移を続けた場合、商品投資顧問業者(CTA)などのトレンドフォロー型ファンドが売りに転じる可能性が高いと指摘している。S&P500は13日の一時200日移動平均線超えをピークに、綺麗に再び下落基調に転じており、実際、チャートなどテクニカル面でも今後売りが続く可能性は高い。
日経平均株価は先週末に大幅に下落し、心理的な節目の28,000円や25日移動平均線を明確に下放れた。一方、27,500円や75日線、26週線、13週線が下値支持帯として意識され、下げ渋る動きも見られた。ただ、米国株が下値模索の展開となった場合、日経平均も上記のサポート水準を下抜ける可能性がある。この場合、日経平均についても、CTAなどの売りが膨らむ可能性があり、注意したい。
今週の予定は19日に日銀金融政策決定会合(~20日)、20日に黒田日銀総裁会見、米11月住宅着工件数、21日に11月訪日外国人客数、米11月中古住宅販売、23日に日銀金融政策決定会合議事要旨(10/27~28開催分)、11月全国消費者物価指数、米11月耐久財受注、米11月個人消費支出・個人所得・PCEコアデフレータ、米11月新築住宅販売などとなっている。
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<今週の注目銘柄>
日揮ホールディングス(1963)コール60回
権利行使価格1,700円(原資産:1,781円)デルタ: 0.63
石油やLNG(液化天然ガス)などのプラントのEPC(設計、調達、建設)を手掛けているエンジニアリング企業。天然ガスを巡っては、ロシアによるウクライナ侵攻を契機に、ロシアから欧州へのパイプライン供給の持続性に不透明感が強まった。各国のエネルギー代替調達ルートの確保は喫緊の課題となっており、世界的にもガスプラントの建設は活発化してきている。良好な事業環境を背景に、同社は上期決算時に通期計画を上方修正。今後は据え置かれた受注高の引き上げや来期以降への期待感から、株価も堅調に推移しそうだ。
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米ドル ドル高(コール)1395回
権利行使価格147円(原資産:136.72円)デルタ:0.17
FRBによる利上げモメンタムは減速しているものの、今後も利上げが継続され、かつ高水準の金利が長く据え置かれることが示されたことで、日米金利差の拡大や大きなギャップの水準そのものが再び意識されている。また、日本の貿易赤字の傾向が続いていることで、実需の円売り・ドル買いも根強い。こうした背景から、12月上旬に一時133円台にまで下落したドル円は再び137円台前後まで戻してきている。FRBの利上げ停止やその後の利下げ転換への期待も根強いため、ドル円が再び1ドル150円を超えていく可能性は高くないが、一方で、135円割れが定着する可能性も高くないと考える。目先、ドル円は135円-140円レンジを予想する。
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DMG森精機(6141)コール55回
権利行使価格1,700円(原資産:1,830円)デルタ:0.66
14日に中期計画を発表。2025年の数値目標として売上高6,000億円(22年見込み4,650億円)、EBIT(利子・税支払い前利益)720億円(同450億円)などを掲げている。売上目標はチャレンジングとの見方が多いようだが、意欲的な拡大計画を好感する動きが優勢で、株価は週末にかけて堅調に推移した。また、配当性向30%を目安とすることを定め、2025年まで10円ずつの増配を行う計画であることも評価されているようだ。
(提供:株式会社フィスコ)
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