2022年12月5日のeワラント特選銘柄

フィスコ社提供の今週のeワラント特選銘柄です。

<今週の東京株式市場見通し>

今週(12/5~12/9)の東京株式市場は弱含みか。日経平均株価の予想レンジは27,400~28,200円。週初は前の週末に発表された米11月雇用統計の結果を反映することになるが、その後は翌週に控える米11月消費者物価指数(CPI)や米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に模様眺めムードが漂いやすく、指数は膠着感の強い展開を予想する。

先週1日に米サプライマネジメント協会(ISM)が発表した11月の製造業景気指数は49.0と、拡大・縮小の境界値である50を割り込み、市場予想(49.7)も下回った。項目では新規受注が3カ月連続での50割れとなっており、景気後退懸念が強まっている。一方で、米10月のCPIや卸売物価指数(PPI)、個人消費支出(PCE)コアデフレータではインフレのピークアウト感が明確に見られており、根強いインフレ減速・利上げペース減速への期待感から、相場は底堅さを保つと考えられる。

こうした中、週末9日には米11月PPIの発表が控えている。食品・エネルギーを除くコア指数は前月比で+0.2%と10月(+0.0%)から加速する見込みだが、前年比では+5.8%と10月(+6.7%)から大きく減速する見込みとなっている。東京市場で結果を織り込むのは翌週となるうえ、CPIとFOMCを前に様子見ムードに変わりはないとは考えられるが、予想通りの大幅減速の結果となれば、インフレ減速・利上げペース減速への期待感は一段と強まり、相場の下支え要因となろう。

ほか、週初5日(日本時間6日午前0時)には米11月のISM非製造業景気指数が発表される。市場予想は53.5で、拡大・縮小の境界値である50は依然として上回る見込みだが、10月(54.4)からは縮小する予想となっている。先週は、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長のイベント講演を受けて、FRBの利上げペース減速期待が強まる中でも、ISM製造業景気指数の予想比下振れを素直にネガティブに捉える動きが見られたため、非製造業景気指数の方でも注意が必要だろう。

また、日本株については、急速な為替の円高進行が大きな重石として働いてきている。FRBの利上げペース減速期待に加えて低調な米経済指標を受けて、10月までの記録的な円安・ドル高トレンドの反転が強まっており、12月に入ってからのドル円は1ドル=135円台割れ目前まで下落している。日本の貿易赤字に伴う、実需筋によるドル買い・円売りがドル円の下値をある程度下支えするとはいえ、投機筋の売買動向に振らされる要素の方が大きいとみられ、トレンド転換を意識した投機筋のドル売り・円買いの動きが今後も日本株の上値を抑える可能性に注意したい。

こうした中、年前半に資源価格の高騰と円安進行のダブルパンチを被っていた食料品や電気・ガスなどのセクターに属する内需系企業にとっては、資源価格の落ち着きに加えて円高進行が逆に追い風として働くことになるため、今後は内需系ディフェンシブ銘柄などに関心を高めていきたい。また、米10年債利回りの低下基調が続いていて、株価バリュエーションへの下押し圧力が和らいでいることから、情報・通信セクターなどに属する内需系グロース株も指数をアウトパフォームすることが期待されよう。

今週の予定は5日に米ISM非製造業景気指数、6日に10月家計調査、米10月貿易収支、7日に10月景気動向指数、中国10月貿易収支、8日に7-9月期国内総生産(GDP)確定値、11月景気ウォッチャー調査、9日にメジャーSQ(特別清算指数)算出、中国11月CPI・PPI、米11月PPI、米12月ミシガン大学消費者信頼感指数、などとなっている。

<今週の注目銘柄>

ユニ・チャーム(8113)コール142回
権利行使価格5,350円(原資産:5,168円)デルタ:0.47

資源価格の落ち着きや為替の円高進行が進む中、年前半に資源価格の高騰と円安のダブルパンチを受けてきた企業への見直し機運が高まっている。こうした中、今後の業績に期待が持てる同社に注目したい。22年12月期第3四半期(7-9月)は需要回復に加えて価格転嫁などが奏功し、日本および好調な北米を中心とした海外で増益を果たした。コストの減少が想定される第4四半期は大幅増益が見込まれるほか、来期23年12月期も価格転嫁を背景に好業績が期待できる。

JFEホールディングス(5411)プット183回
権利行使価格1,500円(原資産:1,508円)デルタ:-0.47

中国でのゼロコロナ政策の緩和期待はあるものの、欧米諸国の景気後退懸念が強まっており、また、中国の景況感回復もスピード感には期待を持ちにくい。こうした中、鋼材市況の低迷が長期化する可能性が高まっており、鉄鋼業界には厳しい状況となっている。日本製鉄(5401)と比べて値上げ力が乏しいともみられ、今後のスプレッド改善期待も高くない。仮に鉄鋼株に投資するとしても日本製鉄との対比では避けられやすく、株価の上値は重いだろう。

サイバーエージェント(4751)コール221回
権利行使価格1,300円(原資産:1,288円)デルタ:0.50

23年9月期の見通しは営業利益で400-500億円(前期比42.1%減-27.7%減)と減益見通しだが、元々保守的な計画を出す傾向があるため大きくネガティブ視する必要はないだろう。むしろ、見た目上はかなり悪い数字を見せてきたことで相当の悪材料は織り込まれたといえる。こうした中、インターネット広告事業は安定して収益を拡大させているほか、ゲーム事業では今後期待のIPタイトルの投入予定もあり、業績上振れの可能性があろう。赤字が続いているABEMA事業も充実したコンテンツ拡大により会員数の増大トレンドが続き、広告収入なども育ってきており、将来の黒字化が期待される。サッカーワールドカップでの日本の活躍も追い風となっており、同社株価の動向にも期待したい。


(提供:株式会社フィスコ)

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