2022年4月11日の特選銘柄

フィスコ社提供の今週のeワラント特選銘柄です。
提供:フィスコ社

<今週の東京株式市場見通し>

今週(4/11~4/15)の東京株式市場は軟調か。日経平均株価の週間予想レンジは26,000円~27,300円。今月下旬から3月期決算企業の本決算発表が始まるのを前に、米金利動向やウクライナ情勢など外部環境の不透明感がくすぶっており、全体的に手掛けにくさが残る。一足先に本格化する2月期決算企業の決算内容を受けた個別株物色が中心となりそうだ。

先週、連邦準備制度理事会(FRB)の中でもハト派とされるブレイナード理事から、5月連邦公開市場委員会(FOMC)での量的引き締め(QT)開始の可能性など、タカ派的な発言が飛び出したことで米金利が急伸し、株式市場は大きく下落した。その後に発表されたFOMC議事録(3月開催分)では、QTのペースとして月額上限950億ドルを目指していく方針などが確認された。2017-19年の前回のQT時のペースは月額500億ドルだったため、2倍近い。

また、複数の理事はQTのペースに上限を設けない方針を支持していたほか、QTが軌道に乗ってからは、住宅ローン担保証券(MBS)の売却を検討することで合意していたことも判明。さらに、新型コロナウイルス発生以降、初めての利上げに踏み切った3月の利上げ幅は0.25ptだったが、ウクライナ戦争が起きていなければ“多くの”理事が0.5ptの利上げを支持していたという。印象としては総じてタカ派色が濃く、事前にブレイナード氏の発言があったにも関わらず、議事録公表以降も株式市場はあく抜け感が高まらなかった。

米10年債利回りは2.6%台後半と3年ぶりの高値を付けてきており、名目金利から期待インフレ率の指標とされる米10年ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)を差し引いた実質金利は-0.2%を割り込んできている。インフレ退治に躍起になっているFRBの姿勢を踏まえれば、実質金利を今後プラスに持っていくことは時間の問題とみられ、金利の一段の上昇に対する警戒感がくすぶる。3月半ば以降、株式市場は実質金利のマイナス幅縮小を無視して大きくリバウンドしてきただけに、改めてFRBの金融政策スタンスを織り込む必要があろう。

そうしたなか、今週は米国で3月の消費者物価指数(CPI)、生産者物価指数(PPI)の発表がある。ウクライナ情勢を巡る対ロ制裁の影響で、エネルギー価格を中心にかなり高い結果が予想されている。相当に織り込み済みとも考えられるが、足元、再び米金融政策に焦点が移りつつあるなか、予想比での上振れ次第では、市場が神経質に反応する可能性があり、注意が必要だ。また、米国では3月の小売売上高も発表されるが、インフレ高進下での消費動向が注目される。弱い結果となれば、スタグフレーション(物価高と景気後退の併存)リスクが一段と意識され、相場の重しとなろう。

ウクライナ情勢も予断を許さない状況が続いている。戦力を喪失しつつあるロシア軍は首都キーウから撤退した一方、ウクライナ東部での新たな攻撃に備えている様子。旧ソ連の対ドイツ戦勝記念パレードが行われる5月9日までに何らかの勝利の確保を目指しているとも推察されており、更なる情勢悪化のリスクがある。

ロシア軍による民間人の虐殺が多数報告されており、欧米諸国の対ロ制裁も更に強化されている。欧州連合(EU)はこれまでエネルギー分野での制裁に二の足を踏んでいたが、ロシア軍の暴挙を背景に、遂にロシア産石炭の禁輸に踏み切った。天然ガスや原油などは影響力が大きいだけに制裁に踏み切っていないが、EUの行政執行機関、欧州委員会のベステアー上級副委員長は、対ロ制裁について、「タブーはなく、あらゆることが検討されている」と述べた。ロシア軍の残忍な行動が続けば、経済合理性よりも世論の声などを重視する可能性があり、一段の制裁リスクも頭の片隅には入れておく必要があろう。

そのほか、ここにきて再び新型コロナもリスク要因として浮上しつつある。英国で確認された新変異株「オミクロンXE」は強い感染力を持つとされており、ロックダウン(都市封鎖)を強いられている中国でも新たな亜型が見つかったもようだ。日本国内でも一部専門家は「第7波が既に開始している」とも指摘している。中国では一部地域でロックダウンが延長されており、工場稼働の停止などを背景に、企業業績の悪化懸念も高まっている。本決算シーズンを前に、当面相場の上値は重いと想定しておいた方がよいだろう。

今週は11日に3月工作機械受注、中国3月CPI、中国3月PPI、12日に3月企業物価指数、独4月ZEW景況感指数、米3月CPI、米10年国債入札、13日に2月機械受注、中国3月貿易収支、米3月PPI、14日にECB定例理事会、米3月小売売上高、15日に米4月ニューヨーク連銀製造業景気指数、米3月鉱工業生産などが発表される。


<今週の注目銘柄>

マツダ(7261) プット 66回
権利行使価格775円(原資産:854円)デルタ:-0.20

長期化している半導体不足の問題が更に長期化するリスクがある。蘭ASMLに供給しているカールツァイスのレンズなどは物流網混乱で供給しづらくなってると伝わっており、これによって半導体製造装置が作れないことが半導体不足に拍車をかけている。ASMLは「半導体不足は今後2年間続く」とも警鐘を鳴らしており、半導体不足の悪影響が大きい川下分野の企業は軟調な株価推移が続きそうだ。半導体サプライヤーからすれば、利益率の低い自動車分野への半導体供給は後回しになりやすく、自動車産業への影響は大きいと推察される。ほか、同社固有の要因として、海外現地生産比率を高めてきた結果、足元で進んでいる円安・ドル高が業績に寄与しないという背景も見逃せない。

IHI(7013) コール 56回
権利行使価格2,700円(原資産:2,831円)デルタ:0.62

新型コロナ感染拡大により一時的に大きく落ち込んだ航空エンジン事業が回復基調にある。同社は世界中のジェットエンジン用ロングシャフトの70~80%を生産している。諸外国では日本よりもかなり早いペースで航空需要が回復しており、これに伴い収益性の高いアフターパーツ事業が回復傾向にある。航空機エンジンの他にも、同社は液化天然ガスの貯蔵プラントで世界最大級のシェアを有し、アジアでは石炭から液化天然ガスにエネルギーのシフトが進んでいるため、これらの事業拡大が期待される。

バンダイナムコHD(7832) コール 103回
権利行使価格9,000円(原資産:9,239円)デルタ:0.58

コロナ禍で高まったトイホビー需要が継続している。同社が手掛ける「機動戦士ガンダム」のプラモデル「ガンプラ」は国内外において人気で品薄状態が続いているという。利益率の高いガンプラの販売好調で業績の順調な拡大が期待される。また、同社が販売を行うゲームソフト「ELDEN RING」が2月25日からに発売されている。同タイトルは海外ゲームアワード「Golden Joystick Awards 2021」において「Most Wanted Game」を受賞するなど前評判が高く、予約状況は順調と伝わっていた。こちらも合わせて業績拡大へ寄与することが見込まれる。外部環境の不透明感がくすぶるなか、ゲーム関連セクターに逃避的な資金が流入していることもあり、足元の地合いも支援要因となろう。


(提供:株式会社フィスコ)

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