2022年6月13日の特選銘柄

フィスコ社提供の今週のeワラント特選銘柄です。
提供:フィスコ社

<今週の東京株式市場見通し>

今週(6/13~6/17)の東京株式市場は軟調な展開が予想される。日経平均株価の予想レンジは27,000~28,100円。先進各国で中央銀行による金融政策決定会合が開催されるほか、注目度の高い経済指標も多く発表されるため、かなり神経質な展開が予想される。

最大の注目は14~15日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)だ。6、7月については既に0.5ptの利上げ幅がコンセンサスとして織り込まれているが、9月以降の利上げ幅については未だ流動的。今会合では政策金利見通し(ドットチャート)が公表されるため、9月以降の利上げペースの行方が注目される。先週開催された欧州中央銀行(ECB)の定例理事会では、2022年と23年のインフレ見通しが大幅に引き上げられた一方、経済成長率見通しは大幅に引き下げられ、スタグフレーション(インフレと景気後退の併存)リスクが強く意識される結果となった。こうした中、FOMCの結果がタカ派な結果となると相場はネガティブに反応する可能性が高いだろう。

また、16日には英国でも金融政策委員会が開催される。同国でも高いインフレ率が続いており、大幅な利上げなどタカ派寄りの結果となれば、世界的な金融引き締め加速の懸念がさらに強まり、相場が調整色を強める可能性がある。

16日は日本でも日銀による金融政策決定会合が開催される。黒田日銀総裁は現状の緩和政策を粘り強く続けていくことを繰り返し主張しているため、当該イベントについてはサプライズに乏しい結果が想定される。ただ、足元では急速に円安が進行し、国内でのインフレ圧力に消費者からの不満の声も出始めている。先週は、黒田総裁の「家計の値上げ許容度が高まっている」との発言が物議を醸し、発言撤回にまで追い込まれる事態があった。こうしたなか、記者会見で総裁がどのような発言をするかが注目される。可能性は低いが、仮に今までとは異なり、円安をけん制するような発言が出た場合には、円高への揺り戻しも考えられ、その場合には、輸出企業の多い日本株全体の重石となることが警戒される。

そのほか、今週は中国で小売売上高や鉱工業生産が、米国では小売売上高のほか、ニューヨーク連銀製造業景気指数、フィラデルフィア連銀製造業景気指数など、注目度の高い指標の発表が多い。景気の底入れ期待が高まっていた中国では上海市の一部区域で都市封鎖が再開されるなど、再び景気減速に繋がりかねない状況に陥っている。また、米国でも景気後退入り懸念は根強く、前回のニューヨーク及びフィラデルフィアの製造業景気指数は大幅な悪化となっていた。こうした中、再び弱い指標結果となれば、景気敏感株を中心に売りが強まる可能性があろう。

個別では、金融政策イベントが続くなか、ハイテク・グロース(成長)株は手掛けにくいだろう。景気後退懸念が再燃しているなか、景気敏感株も同様だ。こうしたなか、先週末には、政府が入国者数上限を現行の2万人からさらに引き上げる方向で検討すると伝わっている。神経質ながらも、消去法的にリオープン(経済再開)関連銘柄が相対的に好まれそうだ。

今週は13日に4-6月期法人企業景気予測調査、14日にFOMC(~15日)、米5月生産者物価指数、15日に4月機械受注、中国5月鉱工業生産、中国5月小売売上高、パウエルFRB議長会見、米5月小売売上高、米6月ニューヨーク連銀景気指数、16日に日銀金融政策決定会合(~17日)、5月貿易収支、英国金融政策委員会、米5月住宅着工件数、米6月フィラデルフィア連銀景気指数、17日に黒田日銀総裁会見、米5月鉱工業生産などが発表予定。

<今週の注目銘柄>

東レ(3402) コール193回
権利行使価格725円(原資産:727.3円)デルタ:0.55

今期は2ケタ台の増収・最終増益を計画。前期に大きく損益改善した炭素繊維複合材料がけん引役になる見通し。前期に伸びた風力発電向けに加え、前期は苦戦した航空機用途向けも今後は回復へ向かおう。PERやPBRなどの株価指標には割安感があり、足元上昇基調を強めてきている株価チャートなどテクニカル面でも妙味がある。

アドバンテスト(6857) プット217回
権利行使価格8,500円(原資産:8,210円)デルタ:-0.50

先週8日、米半導体大手インテルの最高財務責任者(CFO)が、イベントで「マクロ面は明らかに弱まっている」、「半導体業界だけでなく世界中の企業、実質的に全員が影響を受けることになる」などと指摘。先行き不透明感が強まるなか、半導体関連株に弱い動きが目立った。インフレ・金融引き締め懸念が再燃するなか、半導体関連株は引き続き上値の重い展開が予想される。

太平洋セメント(5233) コール129回
権利行使価格2,100円(原資産:2,082円)デルタ:0.53

先週、9月出荷分より、セメント・セメント系固化材について「石炭価格サーチャージ制度」を導入すると発表。セメント製造用石炭価格の大幅な上昇に伴い、コスト低減努力だけでその影響を吸収することは困難になっていることが背景としている。固定価格での値上げよりもユーザーには受け入れられやすいとの見方もあり、販売価格と原料価格の差であるスプレッドの悪化による過度な業績悪化懸念が後退する形となった。これまでスプレッド悪化懸念が特に株価の重石になっていただけに、見直し機運が続く可能性があろう。


(提供:株式会社フィスコ)

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