2022年6月20日の特選銘柄

フィスコ社提供の今週のeワラント特選銘柄です。
提供:フィスコ社

<今週の東京株式市場見通し>

今週(6/20~6/24)の東京株式市場は上値の重い展開か。日経平均株価の予想レンジは 25,000~26,700円 。世界的な金融引き締めの加速や、こうした積極的な引き締めが景気後退を招くオーバーキルへの懸念がくすぶり、軟調な展開が続きそうだ。

14~15日に開催された6月米連邦公開市場委員会(FOMC)で、米連邦準備制度理事会(FRB)は事前にアナウンスしていた0.5ptの利上げ実施を破る形で27年ぶりとなる0.75ptの大幅利上げに踏み切った。10日に発表された米5月消費者物価指数(CPI)が予想を大幅に上回ったほか、変動の激しい品目を除いたコア指数でも予想を上回り、前月比で横ばいだったことから、インフレピークアウトの前提が覆されたことが背景にある。

パウエルFRB議長は記者会見で「次の7月会合では0.5ptか0.75ptの利上げに動く可能性が高い」としたうえで、「今回の0.75ptの利上げ幅は異例であり、この幅が普通になるとは見込んでいない」と説明した。0.75ptの連続利上げや1.00ptの利上げ観測が高まっていた中、こうした発言が安心感を誘ったほか、FRBのインフレ抑制に対する決意を評価し、相場は直後に反発した。しかし、インフレのピークが見通せないなか、今後の物価指標次第では利上げペースの加速は十分にあり得る。不透明感は根強く残り、相場の反発基調は期待薄だろう。

また、今回のFOMCでは四半期に一度の政策金利・経済見通しが公表された。政策金利見通しの中央値は2022年末が3.4%と3月時点の1.9%から大幅に引き上げられ、23年末も2.8から3.8%へと大きく引き上げられた。一方、22年の経済成長率は3月時点の2.8%からトレンドとされる1.8%をも下回る1.7%にまで大きく下方修正され、23年の成長率も2.2%から1.7%へと引き下げられた。景気をある程度犠牲にしてでもインフレ抑制を優先する姿勢が示唆されたという意味で、今後のスタグフレーション(物価高と景気後退の併存)リスクは一段と高まったといえる。

さらに、先週発表された米国の小売売上高やニューヨーク連銀及びフィラデルフィア連銀の製造業景気指数、住宅着工件数などの景気指標は軒並み予想を下回った。最新のミシガン大学消費者マインド指数も過去最低水準だ。中国の小売売上高や鉱工業生産は予想を上回ったとはいえ、依然として低調な内容。また、上海や北京では再び都市封鎖(ロックダウン)拡大への警戒感が高まっており、最悪期を脱したとの確信も深まりにくい。

こうした相次ぐ経済指標の下振れ、そして世界経済の中心である米中二大国の減速懸念が強まるなか、16日にはスイス国立銀行(中央銀行)が予想外に2007年以来の利上げに踏み切ったほか、英イングランド銀行(同)も5会合連続での利上げを実施し、世界的な金融引き締めの加速が警戒された。各国中央銀行はインフレ次第で更なる引き締めも辞さない姿勢を示しており、悪材料が出尽くした感はほとんどない。

世界的にリスク回避の動きが強まるなか、先週末の東京市場では、ハイテク・グロース(成長)株だけでなく、これまで相場が軟調な中でも強い動きを見せてきたINPEX(1605)や三井物産(8031)といった資源関連のほか、三菱重工業(7011)、川崎重工業(7012)の防衛関連なども朝方は軒並み急落していた。こうした動きは、短期筋主導の先物売りだけでなく、実需筋の売りもそれなりに出ていたことを窺わせる。

短期筋による先物主導の下げであれば、状況次第ですぐに買い戻し、相場の反発なども想定されるが、実需筋が売り始めたとなると、相場の反発は当面期待しにくく、調整局面は長引きそうだ。しばらくは我慢強く相場の基調転換を待つべき局面とみられ、安易な押し目買いは避けた方がよいだろう。

金融政策イベントが一巡し、今週は経済指標の発表も少ないことから、金融当局の高官発言のほか、原油先物相場や米長期金利などの価格動向を睨んだ展開となりそうだ。米長期金利が一段と上値を試すような展開となると、リスク回避の動きが強まりそうなため、警戒しておきたい。

今週は21日に米5月中古住宅販売、22日に日銀金融政策決定会合議事要旨(4月27~28日開催)、23日に米1-3月期経常収支、EU首脳会議(~24日)、24日に5月消費者物価、5月企業向けサービス価格指数、独6月Ifo景況感指数、米5月新築住宅販売などが発表予定。

<今週の注目銘柄>

ファーストリテイリング(9983) コール361回
権利行使価格63,000円(原資産:68,480円)デルタ:0.68

5月の既存店売上高は前年同月比17.5%増と、4月の同15.8%増から伸び率が拡大。客数が同9.6%増加したほか、客単価も同7.3%上昇した。国内での高価格帯商品の好調や値上げ実施により収益体質も向上してきている。そうした中、先週はレーティング格上げも手伝い、全体相場が大きく下落するなか底堅い動きが続いた。バリュエーションの過度な割高感も大分解消され、ディフェンシブ性にも着目し、今後の復調に期待したい。

大和ハウス工業(1925) プット65回
権利行使価格3,100円(原資産:3,046円)デルタ:-0.51

米国では住宅ローン金利が大幅に上昇しており、住宅ローン申請件数も大きく減少してきている。住宅着工件数など関連指標の悪化傾向も顕著となっており、同国でビジネスを展開する住宅関連企業にとっては、業績モメンタムの鈍化懸念がくすぶりそうだ。

INPEX(1605) コール246回
権利行使価格1,650円(原資産:1,631円)デルタ:0.48

「脱炭素」や「ESG(環境・社会・ガバナンス)」といった世界の風潮を背景に旧エネルギー分野では新規の設備投資が抑えられてきた。こうした中、新型コロナ後の需要の急速な拡大やウクライナ情勢を背景に原油市況の需給逼迫が長期化している。当面、価格は高止まりすることが想定されており、インフレへの関心が高まっているなか、原油市況の逼迫が業績上振れにつながりやすい同社は選好されやすいだろう。

(提供:株式会社フィスコ)

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