2022年9月20日のeワラント特選銘柄

フィスコ社提供の今週のeワラント特選銘柄です。

<今週の東京株式市場見通し>

今週(9/20~9/22)の東京株式市場は様子見の後に荒れ模様か。日経平均株価の予想レンジは26,800~28,400円。国内は祝日に挟まれ立ち合いは3日に限られる。注目の米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果とパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の会見を織り込むのは最終日22日となるため、大半は様子見ムードが支配的となろう。英国金融政策委員会、日銀金融政策決定会合も開催されるが、日本は現状維持、英国では0.5pt以上の大幅利上げが予想される。いずれにせよ、重要視されるのは米国の動向となる。

先週に発表された米8月消費者物価指数(CPI)は前年比+8.3%と予想(+8.0%)を上回り、前月比では+0.1%と減速の予想(-0.1%)に対して上振れた。米国でガソリン価格の下落傾向が続いていたことで、7%台までの減速もあり得るのではないかという声もあったなかネガティブササプライズとなった。FRBが重要視する食品・エネルギーを除いたコア指数も前年比+6.3%と7月(+5.9%)から大きく加速し、予想(+6.1%)も上回った。前月比では+0.6%と7月(+0.3%)及び予想(+0.3%)から2倍の上振れとなった。米8月卸売物価指数(PPI)も概ね予想に一致したものの、コア指数では前年比+7.3%と予想(+7.0%)を大幅に超過。前月比でも+0.4%と予想(+0.3%)を上回った。

コア指数がどちらも予想を上回ったことは、粘着質のあるサービス分野で賃金上昇を通じたインフレ圧力が広く波及していること示唆し、インフレ懸念を再燃させる結果だ。CPIの結果を受けて、FF(フェデラル・ファンド)金利先物市場では20日から開催されるFOMCでの利上げ幅として0.75ptを完全に織り込み、1.00ptの利上げ確率も20%程まで高まる形となった。市場が織り込むターミナルレート(政策金利の最終到達水準)は、CPI発表前は来年3月頃をピークに4%程度だったが、CPI発表後は4.5%近くまで上昇した。米クリーブランド連銀のメスター総裁や米セントルイス連銀のブラード総裁は政策金利を4%以上に引き上げるべきと依然から主張していたため、ターミナルレートとしてはFRBが想定する水準まで市場の織り込みが追い付いたといえる。

織り込みが一気に進んだ分、FOMCでのサプライズの可能性は低くなり、短期的にはイベント通過後はあく抜け感から株式市場の反発も予想される。しかし、外部環境の不透明感がくすぶる中、持続性は疑わしいほか、FOMCでのサプライズの可能性もゼロではない。今回のFOMCでは政策金利見通し(ドットチャート)が公表される。前回6月時点でのFOMC参加者が予想する2023年末の政策金利の中央値は3.75%であり、今会合ではこれがどこまで引き上げられるかが焦点になる。現在、FF金利先物市場は来年3月頃の4.4%台後半をピークに、その後は緩やかな利下げを予想する形になっており、23年末の政策金利水準としては4.0%を予想している。

しかし、パウエル議長はジャクソンホール会議で、家計や企業に痛みが伴ってでもインフレ沈静化を最優先にすることを主張しており、実際に景気が悪化したとしても来年中に利下げに転じる可能性は高くないと考えられる。パウエル議長は1970年台後半のウィリアム・ミラー議長時代の政策運営を例に挙げ、景気悪化に応じてすぐに利下げに転じた結果、インフレをぶり返してしまった過ちと、それを再び繰り返すことの危険性を指摘し、早期の利下げ転換はしないことを既に主張している。FRBと市場が予想する来年末の政策金利水準にはまだギャップがあり、この点がサプライズの余地を残しているといえる。FOMCの結果を織り込む東京時間22日は国内での立ち合いがこの週最後になるため、結果がネガティブなものとなれば、手仕舞い売りが膨らみ、日経平均の27,000円割れも否定できないだろう。

14日、東京証券取引所が公表した裁定取引に係わる現物ポジションでは、9月9日時点での裁定買い残は1兆4056億円と、2019年以降での最高水準に近い金額となっている。海外投資家の動向次第では、裁定売り圧力が強まり、需給面でも株価下落に拍車がかかりやすい状況といえる。

今週は19日に米9月NAHB住宅市場指数、20日に8月全国消費者物価指数、米FOMC(~21日)、米8月住宅着工件数、21日に日銀金融政策決定会合(~22日)、8月訪日外国人客数、パウエルFRB議長会見、米8月中古住宅販売件数、22日に黒田日銀総裁会見、英金融政策委員会が予定されている。

<今週の注目銘柄>

オリエンタルランド(4661)コール202回
権利行使価格20,500円(原資産:20,390円)デルタ:0.54

世界的な新型コロナ感染者数の減少を背景に日本国内でも水際対策を含め広く行動制限が緩和されてきている。世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長も14日、「(パンデミックの)終焉が視野に入っている」などと言明した。こうした中、リオープン(経済再開)関連の筆頭格として同社株が注目されよう。5月~7月にかけて導入したディズニー・プレミアアクセス(時間指定の優先入場権)や夕方パス(アーリーイブニングパスポート、ウィークナイトパスポート)の効果も相まって入場者数の回復が期待される。

東京エレクトロン(8035)プット298回
権利行使価格39,500円(原資産:40,910円)デルタ:-0.41

米アプライド・マテリアルズやエヌビディア、韓国サムスン電子、台湾積体電路製造(TSMC)など各国の大手半導体関連企業が、メモリを中心に半導体市場の需要が急速に鈍化していることを警告している。ロジックやアナログなどはまだ堅調が続いているものの、今後は在庫調整の波がこうした分野にまで及んでくることが想定され、半導体関連企業の株価はしばらく上値の重い展開が予想される。

セブン&アイ・ホールディングス(3382)コール203回
権利行使価格5,600円(原資産:5,951円)デルタ:0.64

外部環境が不透明な中、ディフェンシブ性を有す銘柄として着目。8月セブン-イレブンジャパン既存店売上高は前年同月比+4.7%で、国内販売の回復が確認された堅調な結果だった。米国でのガソリン価格が6月をピークに低下しており、今後はガソリン小売販売の業績寄与へのピークアウトが懸念されるが、国内では行動制限緩和に伴う販売回復、米国ではエネルギー価格のピークアウトに伴うコスト減少、買収したSpeedwayとのシナジー効果が期待される。特に米国コンビニ事業は出店数や1店舗あたり売上高に拡大余地があり、成長が期待される。


(提供:株式会社フィスコ)

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