フィスコ社提供の今週のeワラント特選銘柄です。
<今週の東京株式市場見通し>
今週(9/26~9/30)の東京株式市場は軟調か。日経平均株価の予想レンジは26,500~27,500円。金利先高観と景気後退・企業業績悪化に対する懸念から上値の重い展開が続きそうだ。
20~21日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)では米連邦準備制度理事会(FRB)のタカ派姿勢が再確認された。政策金利は3会合連続で0.75pt引き上げられ、フェデラルファンド(FF)金利は3.00~3.25%となった。政策金利見通し(ドットチャート)では2022年末に政策金利が4.4%まで引き上げられた後、来年23年末には4.6%まで引き上げられることが示された。
FOMCの結果公表前、FF金利先物市場は来年3月をピークに政策金利が4.5%近くまで上昇した後は利上げが停止され、来年末時点では4.0%程度の水準を予想していた。しかし、FRBが示したターミナルレート(政策金利の最終到達点)は来年末時点で4.6%と、ピーク時点の予想をも上回った。また、24年末については参加者の予測分布が大きく広がっており、今後のデータ次第で変わり得るものの、中央値では3.9%とされており、現時点では高水準の金利が約2年にわたって維持される見込みだ。
パウエルFRB議長の記者会見は非常に印象的だった。パウエル氏は会見で「今の政策金利水準は抑制的な領域において一番低いところにある」と言及。つまり、景気を犠牲にしてでもインフレ抑制を最優先にすることを繰り返し主張しているFRBの姿勢を踏まえれば、今後もまだまだ利上げを続けるという積極的タカ派スタンスが示されたと解釈できる。
そうしたスタンスはFRBの最新の経済成長見通しからも窺える。2022年の米国経済成長率は6月時点の1.7%から0.2%へと大幅に下方修正され、23年も1.7%から1.2%へと引き下げられた。潜在成長率が1.8%とされていることから、来年もインフレ沈静化のために景気を大きく抑制することが示唆されている。FRBはもはやソフトランディング(経済の軟着陸)を諦めており、ハードランディングは避けられないとの見方に変わりつつあるようだ。
金利先高観が残り、今後景気が後退してもすぐには利下げに転じないことが想定されるなか、株式市場においては株価バリュエーションであるPER(株価収益率)に対する上値抑制圧力と企業業績の悪化による一株当たり利益(EPS)への下押し圧力が予想され、当面厳しい展開が続きそうだ。
こうした中、今週は米国で耐久財受注や消費者信頼感指数、新築住宅販売件数が、中国では週末に購買担当者景気指数(PMI)が発表を控えており、足元の景気を確認するうえで注目される。また、米国でのナイキ、マイクロン・テクノロジーの決算は米国内消費と半導体業界の動向を確認するうえで注目されよう。指標や決算の予想比での下振れは景気後退懸念を更に強める可能性があり、注意が必要だろう。
ほか、今週は国内での需給イベントにも注目だ。28、29日にかけては配当再投資に絡んだ買い需要が現物・先物の合算で1兆円前後(TOPIX(東証株価指数)8,000億円強、日経平均1,500億円強)見込まれている。一方、日経平均採用銘柄の入れ替えに伴い、日経平均には28、30日の計2日間で5,000~6,000億円程の売り需要が出る見込み。今週、日経平均には差し引きで4,000億円程の売りインパクトが出る計算になる。このため、日経平均よりはTOPIXの方が相対的なパフォーマンスは勝ると考えられ、NT倍率は低下する公算が大きい。値がさ株などの動きには注意が必要だろう。
<今週の注目銘柄>
三菱重工業(7011)コール196回
権利行使価格5,000円(原資産:5,221円)デルタ:0.60
ガスタービンなどの火力発電所設備のほか原子力発電、航空・宇宙関連などを広範囲に手掛ける総合重機メーカー。ウクライナ情勢を巡る地政学リスクを受けてエネルギー問題の重要性が高まっているほか、日本国内では防衛予算が増加方向にある。さらに新型コロナ感染収束で経済活動が再開し航空機市場は急速に回復している。こうした中、「エネルギー」、「防衛」、「リオープン(経済再開)」の全てのテーマ性を併せ持っている三菱重工業は、株式市場において中長期的な投資対象になってくると考えられる。
日本電信電話(9432)コール190回
権利行使価格3,750円(原資産:3,867円)デルタ:0.56
国内では今年7月にNTTドコモとNTTコミュニケーションズとの事業再編が実施された。また、海外ではNTTデータとNTT Ltdとが今年10 月に統合し、事業体制の整備が更に進む予定。今後は構造改革による法人事業を中心としたシナジー効果の発現が期待される。また、ドコモでは、効率性の低いドコモショップを閉店してオンライン体制に移行させることでコスト削減効果が見込まれている。業績面では今後は更なる増配なども期待されている。9月28日の配当権利付き最終売買日に向けては権利取りの動きなども想定されるほか、ディフェンシブ性を有すセクターである点も足元の株式市場では選好されやすいとみており、相対的な好パフォーマンスに期待したい。
SUBARU(7270)コール158回
権利行使価格2,400円(原資産:2,530円)デルタ:0.62
部材不足の解消による新車生産の本格回復にはなお時間がかかるとみられるが、半導体不足が解消しつつあり、世界的な供給網逼迫も大きく緩和されてきている中、自動車セクターの業績回復への期待は依然として高い。自動車市場の中でも米国の相対的な優位性が見込まれる中、米国地域での売上比率の高いSUBARUはとりわけ注目される。今後2~3年において新型モデルなどが投入される見込みのほか、業界他社比で低い在庫水準が今後の販売回復時には強みとして効いてこよう。
(提供:株式会社フィスコ)
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