2022年9月5日のeワラント特選銘柄

フィスコ社提供の今週のeワラント特選銘柄です。

<今週の東京株式市場見通し>

今週(9/5~9/9)の東京株式市場は神経質な展開か。日経平均株価の予想レンジは26,800~27,900円。週末の9月限先物・オプション取引に係る特別清算指数(SQ)算出を前に需給主導で荒い値動きが想定される。

米経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」でのパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演はタカ派色の強い内容だった。パウエル氏は、物価安定のために短期的には企業や家計に痛みが伴うことは致し方ないとし、長期的な経済成長のために景気を犠牲にしてでもインフレ抑制を最優先とする決意を示した。また、ポール・ボルカー氏など歴代の議長を例に挙げ、過去の経験から、早急な金融緩和への転換はリスクが伴うとし、高水準の金利を粘り強く維持していく方針を示した。景気に配慮して来年半ばには利下げに転じると見ていた投資家が多かったが、こうした期待は完全に剥落したといえる。

さらに、パウエル氏は労働市場が明らかにバランスを欠いており、需給の逼迫がかなり強いと指摘している。ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁も、インフレ沈静化のためには、景気抑制的な政策を一定期間維持する必要があり、これは短期間だけ実施してすぐに転換するようなものではないと釘を刺している。

こうした中、週初は、前の週末に発表された米8月雇用統計の結果を受けた米国市場の動きを反映することになる。雇用者数や平均賃金の伸びが予想を上回っていれば、労働市場の逼迫から、FRBの金融引き締め強化を警戒した売りが更に膨らむ可能性があろう。

1日、米10年債利回りは3.26%まで上昇した。FRB高官から相次ぐタカ派発言が要因だが、中でも、米クリーブランド連銀のメスター総裁が、来年の早い時期までに政策金利を4%超の水準にまで引き上げ、2023年中の利下げはないとの見解を示したことが大きそうだ。

景気後退懸念が米長期金利を幾分低下させるとはいえ、来年からの利下げ転換期待が剥落し、9月からは量的引き締め(QT)が2倍のスピードに引き上げられていく中、金利のじわり上昇圧力は否めない。一方で、FRBがインフレ抑制への決意を改めて強調したことで、期待インフレ率の指標である米10年物ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は8月24日を直近高値に低下基調にある。これに伴い、名目金利から期待インフレ率を差し引いた実質金利は1日、0.81%と6月14日に付けた高値0.88%に迫るところまで一気に上昇してきた。実質金利の上昇ペースに対して、米国株の下落ペースが遅れており、株式市場の調整余地は残されていると考えられる。

週末には国内でメジャーSQを控える。日本取引所グループが公表している投資部門別売買状況によると、日経平均株価が718円高と急伸し、その後の急ピッチでのリバウンドへと繋がった7月20日を含む週から8月第4週(8/22~26)までの間、海外投資家は現物株を2,100億円程売り越した一方、日経平均先物(ミニを除く)を1兆2,200億円買い越し、TOPIX先物は4,600億円買い越した。先週までの下落で一部の買い持ち高は解消されているとはいえ、メジャーSQに向けて買い持ち高の解消余地が残されていることもリスク要因だろう。

日経平均株価は、先週末、心理的な節目となる27,500円より上で終えたが、この水準より下には距離を詰める形で200日移動平均線、75日線が並んでいる。これらを割ってしまうと、短期筋は今度買い持ち高の解消だけでなく、新たに売り持ち高の積み上げに回るとも考えられるため、警戒が必要だろう。

米国では5日のレイバー・デー明け以降、機関投資家の多くが夏休みから戻ってくる。7月半ばからのリバウンド局面では、機関投資家の夏休み入りに伴う売り手不在が株価上昇の背景として考えられてきた。機関投資家が戻ってきて売買に厚みが増してくる中、売りが更に膨らむ可能性には注意したい。ほか、8日からは欧州中央銀行(ECB)による定例理事会が開催される。欧州ではインフレ減速の兆しが未だ見られず、今会合では0.75ptの大幅利上げの可能性がある。足元で金融引き締め強化への警戒感が強まっている中、大幅利上げが決定された場合には、リスク回避の動きが増幅される恐れもあろう。


<今週の注目銘柄>

スズキ(7269) コール114回
権利行使価格5,050円(原資産:4,947円)デルタ:0.49

23年3月期第1四半期は市場予想を大幅に上回る好決算だった。販売台数の増加に加え、値上げや商品構成の改善などが寄与した。営業利益の会社計画に対する進捗率も38%と高い。第1四半期業績において粗利益率の改善が見られたほか、今後は新型SUVの販売も控えている。また、為替前提も保守的で、歴史的な円安進行が進む中、業績上振れ期待が高まっている。

金リンク債 プット362回
権利行使価格1,750米ドル(原資産:1,689.49米ドル)デルタ:-0.77

FRBの来年からの利下げ転換期待が剥落し、「より高い金利がより長い期間」にわたって続く可能性が高まってきた。米クリーブランド連銀のメスター総裁は2023年中の利下げはないとも言及しているが、金利先物市場では、政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートについて、2023年の5月前後にはFRBが利下げに転じると未だに予想している。利上げについてはまだ十分に織り込まれていないと推察され、当面は金利上昇圧力が働き、金利の付かない金価格には下押し圧力が働こう。

三井住友フィナンシャルグループ(8316)コール371回
権利行使価格4,100円(原資産:4,208円)デルタ:0.52

23年3月期第1四半期の海外貸出金残高は前年同期比14%増と伸長。米10年債利回りが再び大きく上昇してきている中、利ザヤ拡大による業績への好影響が期待される。実際、米金利の上昇でグロース株を中心に株式市場全体は軟調なものの、同社株のチャートは堅調な推移が続いている。外債の評価損などの懸念はあるが、ヘッジ取引も活用しているとみられ、全体では米長期金利の上昇が業績の追い風になるとみられる。

(提供:株式会社フィスコ)

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