10分でわかる原油投資入門

2014年の中旬から下落を始めた原油価格は、2016年1月には1バレル20ドル台まで下落しました。しかし、その後は徐々に値を上げており、長期的な視点で見ると底を打ったとの見方もあります。ところで、株式や為替の投資歴の長いベテラン投資家でも原油相場の動きに関しては詳しくない方も多いのではないでしょうか。

そこで本サイトでは、原油相場への投資に必要な基礎知識を短時間でおさえられるようにまとめました。経済のグローバル化が進んだ現代の環境では、原油価格の動きは他の資産にも大きな影響を及ぼすため、株式やFXがメインの投資家にとっても原油価格の値動き要因を抑えておくことは有意といえるでしょう。

中東の原油の生産量は世界の何割?

突然ですが、原油の産地といえば、特に日本ではまず中東を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。実際に、日本に輸入される原油の多くは中東から輸入されています。 【グラフ1】には日本の原油輸入量と中東依存度の推移が示されています。オイルショックの前に原油の9割以上を中東から輸入していた時期があり、オイルショック後に輸入先の多角化を図って下落した時期もありましたが、現在は8割以上の原油を中東からの輸入に依存しているという状況です。

日本の原油の輸入先と世界の原油生産のシェアはだいぶ異なっています。地域別でみたときに、中東は最大の産油地域ですが(【グラフ2】 参照)、2014年の生産量ベースで世界全体の3分の1程度です。同じ2014年ベースで他にシェア率が高い地域は北米(21%)、欧州・ユーラシア(20%)です。グラフと同じ統計によれば、国別ではサウジアラビア(13%)、ロシア(13%)、米国(12%)の三カ国が圧倒的な生産量を誇っており、4位のカナダ(5%)を大きく引き離しています。

【グラフ1】【グラフ2】を見て気づかれるかもしれませんが、世界有数の産油国である米国から日本への原油の輸出はほぼありませんでした。これは、米国が第一次オイルショックのあった1975年から原油の禁輸政策を約40年間続けていたためです。米国は日本だけでなく米国外へ原油を輸出していなかったのですが、2015年末に米国は原油輸出解禁を決定しました。
原油相場をみるときには、供給面からは中東の動向に加えてロシア、米国の動向を特に気にする必要があるといえるでしょう。

【グラフ1】原油の輸入量と中東依存度の推移

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(出所:資源エネルギー庁)

【グラフ2】世界の地域別原油生産シェア(2014年)

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(出所:BP Statistical Review of World Energy 2015よりeワラント証券作成)

原油の価格はどこで決まる?

原油が取引される大きな国際市場として、北米・欧州・アジアの三大市場があります。そして、それぞれの市場には原油取引の価格決定の基準となる指標原油(マーカー原油ともいわれます)があります。北米では「WTI原油」、欧州では「ブレント原油」、アジアでは「ドバイ原油」が各々の指標原油にあたります。そして、ニューヨークやロンドン、ドバイなどの商品取引所にそれぞれの原油価格に対する先物が上場されていますが、特にWTI原油先物とブレント原油先物は取引量と市場参加者が多く、市場の流動性が高いため価格形成に大きな影響力をもちます。

なお、eワラントを用いればWTI原油先物およびブレント原油先物の相場に間接的に投資することができます。

【グラフ3】2015年の指標原油先物取引(直近限月)の出来高比較(100万バレル)

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(出所:ロイターよりeワラント証券作成)

●WTI原油
WTIはWest Texas Intermediate(ウェスト・テキサス・インターミデイエイト)の略で、WTI原油は米国のテキサス州西部を中心に生産される原油のことを指します。NYMEXのWTI原油先物は世界で最も取引量の多い原油先物で、国際的な原油価格の指標として最も有名なもののひとつです。WTI原油先物の価格を動かす重要な指標のひとつとして、米国エネルギー省から基本的に毎週水曜日に開示される米週間石油在庫統計が挙げられます。

ところで、WTI原油先物取引に係る契約では、米オクラホマ州のクッシングという都市にてWTI原油そのものか、同等の代替物と受渡を行うとされています。このため、WTI原油先物の価格にはクッシングという米国の中の一都市における在庫状況が価格に大きな影響を与えます。WTI原油先物は世界のエネルギー先物取引の中で最も流動性が高い取引のひとつですが、今挙げたような点から国際価格としてふさわしいかに関して、近年は疑問の声も上がっているようです。

●ブレント原油
英国やノルウェーを中心とする北海油田は世界的な産油地のひとつであり、ブレント(Brent)は北海に存在する油田のうちのひとつの名称です。先述したように、WTI原油価格の国際的な原油価格としての指標性の弱さが指摘される中で、より的確に国際的な石油市況を反映する指標としてブレント原油が注目されています。【グラフ4】は過去15年間のWTI原油先物とブレント原油先物の直近限月での取引量を表しています。いまだにWTIの方が取引量では上回るものの、ブレント原油先物の取引が増加傾向にあることがわかります。

【グラフ4】過去15年のWTI・ブレント原油先物取引(直近限月)の出来高比較

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(出所:ロイターよりeワラント証券作成)
*折れ線グラフはNYMEX WTI原油先物取引の出来高に対するICE ブレント原油先物の出来高の比率を表す。出来高は100万バレル単位

伸び続ける?アジアの消費量

次に世界の石油の消費量の動向をみてみます。 【グラフ5】は2014年の世界で地域別にどれだけの割合の石油消費があったかを示しています。先ほども触れたように、アジア、北米、欧州が世界の三大市場であることがわかります。こちらも国別で見ると、首位は米国(20%)、第2位に中国(12%)、やや離れて日本(5%)と続きます。国別では米国が圧倒的な差で世界最大の消費国であり続けていますが、地域別の推移をみたときに世界全体として石油の消費量は拡大傾向にありながら、アジア・太平洋の伸びが際立っていることがわかります。最大の要因は中国の石油消費量の増加で、消費量は四半世紀で4.6倍に増加しています。(そりゃ空気も悪くなりますよね…。)しかし、2010年には前年比12.2%増であった中国の消費量の伸びは2014年には前年比3.3%増で、経済成長の緩やかな鈍化とともに消費量の伸び率は落ち着いてきているようです。

【グラフ5】世界の地域別原油消費シェア(2014年)

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(出所:BP Statistical Review of World Energy 2015よりeワラント証券作成)

【グラフ6】世界の地域別原油消費シェア推移と世界の原油消費量推移

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(出所:BP Statistical Review of World Energy 2015よりeワラント証券作成)

【グラフ7】米週間石油在庫統計とWTI先物価格(直近限月)の推移

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(出所:米エネルギー省およびロイターよりeワラント証券作成)

次に在庫が急増した理由を需給に分けて考えてみます。【図1】は米エネルギー省が公表している液体燃料の世界の供給・需要および推計在庫量の実績および予測データです。特に2014年になってから、供給量の伸びに需要が追いつかなくなって、在庫が増加していることがわかります。【グラフ8】は、供給量の推移を地域別に分解したものですが、ほとんどの地域が横ばい~微増程度のなか、北米だけ生産量が着実に増加していることがわかります。この原因が、いわゆる「シェール革命」と考えられます。シェール革命は、2000年代にこれまで開発が困難とされてきた頁岩(けつがん)(シェール)に含まれる石油や天然ガスの採掘が技術革新によって可能になったことによる世界的なエネルギーの需給構造の変化をいいます。近年ではシェール革命による北米での原油埋蔵量の増大により、米国からの原油輸出解禁の動きも強まってきているようです。このように米国のさらなる供給増が続くなか、OPEC加盟国やロシアなどの主要産油国も減産しなかったため、一昨年末に需給のバランスが崩れて原油価格は大きく下落したと考えられます。

【図1】米週間石油在庫統計とWTI先物価格(直近限月)の推移

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(出所:米エネルギー省)

【グラフ8】地域別原油供給量推移(千バレル/日)

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(出所:米エネルギー省よりeワラント証券作成)

2016年の経過と今後の見通し

しかし、2016年に入り、少しずつ需要<供給の関係に変化が発生してきているようです。原油価格の急落により、米国の原油増産を引っ張っていたシェール関連企業が採算割れを起こし撤退、さらには経営破綻へと追いやられています。その状況下でも米国の石油在庫が増加していることから、これがすぐに供給力の低下を招くものではないとは思われますが、中長期的に米国の生産量に調整がかかるものとして、原油価格に影響を与えているものと考えられます。また、カナダの森林火災やナイジェリアの石油生産施設襲撃による生産停止、ベネズエラの政情不安などの地政学的なリスクが短期的な供給不安をあおり、それが原油価格の上昇に反映されているのでしょう。

それでは、今後の原油価格の見通しはどのようなものでしょうか。 国際エネルギー機関(IEA)は、 世界経済の健全性に懸念が生じない限り、原油相場は底入れした可能性があるとの認識を示しています。確かに、前述のとおり、米国のシェール関連企業の撤退により、 今後の資源開発が停滞し、供給量が調整される可能性は十分にあるといえ、今後は緩やかに原油価格が回復するという見通しは有力と考えられます。加えて、市場が予想していない事象が発生した場合には、原油価格の急変も考えられます。例えば、ウクライナや中東などの情勢が悪化して産油国周辺の地政学リスクが増大した場合には、ロシアや中東からの供給不安が懸念されて一時的に原油価格が急騰する可能性があります。また、多くのシェール関連企業が短期間に一気にデフォルトした場合は、生産調整が急に進むとの思惑が広がり原油価格が短期間に急騰する可能性があります。

ただし、もしいずれかのケースが発生したときには、リスク回避先として日本円が買われて円高となり、円換算した原油価格に負の影響を及ぼす可能性がある点には注意が必要です。さらに、一部報道ではシェール関連企業の社債発行額は日本円換算で1兆円を超えるとも言われています。これらの社債を発行している多くの企業がデフォルトが発生した場合には金融市場に大きな影響を与えて、株価など他の資産価格の下落を招く可能性もあります。

さらに、原油相場が底入れした可能性があるという見通しは、インドをはじめとした新興国の堅調な経済成長に伴う原油需要の増加を前提としたものであることにも注意しておかなくてはなりません。そのため、予測よりも新興国各国の成長鈍化が明らかとなった場合には、需給バランスが大きく損なわれ、現在の50ドル前後で推移している状況から原油価格がもう一段安となる可能性があります。

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原油相場への投資手段として例えば投資信託や商品先物などが考えられます。しかし、特に最近の原油相場は値動きが大きく、証拠金取引によって取引をした場合に追証(追加証拠金)が発生するなど想定以上の損失が発生してしまう可能性があります。また、国内では国際原油指標として注目が高まっているブレント原油相場に投資できる商品は多くありません。

eワラントなら小額で、損失限定なのに、レバレッジをかけて原油相場の上昇局面、下落局面のいずれでも利益を狙える投資することができます。また、WTI原油とブレント原油のいずれにも投資をすることができます。 もちろん原油相場以外にも株価指数、個別株式、FXなどの相場に小額・損失限定でレバレッジ投資をすることができます。