イーサリアムのハードフォーク…って何?

暗号資産イーサリアムの大型アップデート「ロンドン」が日本時間5日21時に実行されました。

アップデート直後には材料出尽くしとみた売りが出たものの、一転して買いが優勢となり約2カ月ぶりの高値を記録しました。同アップデートには手数料モデルの変更など、5つのイーサリアム改善提案(Ethereum Improvement Proposal、EIP)が含まれ、ブロックチェーンの永続的な分岐が生じるハードフォークに該当します。


ハードフォークって何?

ハードフォークとは、プロトコルに設定されたルールの緩和を意味します。逆に、ルールの厳格化をソフトフォークと言います。これだけだと何のことかまったくわかりません。簡単に言うと、ハードフォーク・ソフトフォークはともにブロックチェーンのアップデートのことです。ハードフォークでは、分岐前と分岐後のブロックでルールが異なるため、両者に互換性がなくなり永続的に分岐が生じます。一方、ソフトフォークは分岐前後のブロックに互換性があり、マイナーの支持によって新ルールか旧ルールのどちらかにブロックチェーンが収束します。

ハードフォークと聞くと、ビットコインキャッシュのように新しい暗号資産が生まれるというイメージを持たれている方もいるでしょう。これは、アップデートを行ったブロックチェーンと、行わなかったブロックチェーンが共に支持され存続したからです。開発コミュニティ内での合意形成がなされていれば、アップデート前のブロックチェーンを支持する者はおらず、実質的に消滅することになります。これに対して、開発コミュニティ内で賛成派と反対派の合意形成がなされないままハードフォークが実行されると、賛成派の支持するブロックチェーン(例:ビットコインキャッシュ)と反対派の支持するブロックチェーン(例:ビットコイン)の異なるブロックチェーンが共に存続していくのです。有名な例としては、先ほどのビットコインキャッシュのほかに、イーサリアムとイーサリアムクラシックなどが挙げられます。今回のアップデートはコミュニティ内での合意形成がなされていたため、2つのブロックチェーンが共に存続する事態にはつながりませんでした。


アップデートは「買い」イベントなのか?

本来、ハードフォーク・ソフトフォークは共に、既存の問題を解決するために行われます。問題解決によって利便性が向上すれば、利用者が増加することが予想され、その分だけ需要が増すことが期待できるでしょう。では、実際にはどのような推移を見せていたのでしょうか。次の図は、2019年以降の大型アップデート前後のイーサリアム価格の推移をまとめたものです。アップデート日をT、アップデート日の終値を100として、30日前(T-30)から30日後までの価格をプロットしています。

暗号資産市況全体の影響もあるので一概には言えませんが、図を見る限りではアップデート前後1か月の価格を比較して下落したのは4回(1カ月経過していないロンドンを除く)のうち「イスタンブール」の1回のみで、平均して36%の上昇をみせていました。アップデート前後は比較的良好なパフォーマンスが期待できるのかもしれません。ただ、期間をアップデート前からアップデート当日に絞ると、ややパフォーマンスが低下します。イーサリアムの場合は、「噂で買って事実で売れ」というより、「噂で買って少し待て」、「事実で買って少し待て」くらいのスタンスがちょうどいいのかもしれません。


(eワラント証券)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。