今年の5月に「東京オリンピックまで2カ月。関連銘柄は買い?それとも売り?」と題して、コラムを書かせていただきました。
新型コロナウィルス問題の影響により、オリンピック開催について色々と紆余曲折はありましたが、今月7/23に開催予定の開会式まで残り2週間ちょっととなりました。
ここまで来れば、今更中止になることはないでしょう。
ではオリンピック関連銘柄のパフォーマンスは足元、どうなっているでしょうか?
そろそろオリンピック前とオリンピック後の戦略が気になってくるタイミングですので、改めて関連銘柄のパフォーマンスを検証したいと思います。
オリンピック関連銘柄の選定
オリンピック関連銘柄を選定するにあたり、まずは以下の7つのカテゴリーに分けてみました。
- 観光・旅行
- アミューズメント
- 警備
- 広告・メディア・イベント
- スポーツ
- インフラ
- 建築・建設・不動産
但し、インフラと建築・建設・不動産に関しては、既に恩恵を享受済みであり、オリンピックを約2週間後に控えた今となっては、オリンピック関連銘柄とはいえないと判断し、前回同様、今回の検証からも除外することにします。
従って、上記1~5のカテゴリーに該当する関連銘柄をそれぞれ選び、各カテゴリー内で等ウェイトのバスケットを組成し、足元の株価の推移を検証することにします。
各カテゴリーに該当する銘柄は次の通りとします。
- 観光・旅行
JR東日本【9020】,JR東海【9022】,日本航空【9201】,ANAホールディングス【9202】,エイチ・アイ・エス【9603】,藤田観光【9722】,KNT-CTホールディングス【9726】 - アミューズメント
オリエンタルランド【4661】,任天堂【7974】,サンリオ【8136】 - 警備
総合警備保障【2331】,ディー・ディー・エス【3782】,ラック【3857】,ぴあ【4337】,トレンドマイクロ【4704】,JVCケンウッド【6632】,パナソニック【6752】,セコム【9735】 - 広告・メディア・イベント
博報堂DYホールディングス【2433】,アミューズ【4301】,電通グループ【4324】,フジ・メディア・ホールディングス【4676】,Zホールディングス【4689】,ソニー【6758】,エイベックス【7860】,TBSホールディングス【9401】,日本テレビホールディングス【9404】,テレビ朝日ホールディングス【9409】,スカパーJSATホールディングス【9412】 - スポーツ
ルネサンス【2378】,セントラルスポーツ【4801】,アシックス【7936】,ミズノ【8022】,ゴールドウイン【8111】,デサント【8114】,東祥【8920】,コナミホールディングス【9766】
コロナショック(20年1月)以降の各バスケットのパフォーマンスは?
下の図1をご覧ください。
これは、コロナショック直前の2020年1月から、2021年7月5日までの、各カテゴリーのバスケット価格とTOPIXのパフォーマンス差の推移を表しています。(2020年1月6日の価格を基準に標準化済)

ご覧の通り、今年初めの段階ではTOPIXのパフォーマンスを上回っているカテゴリーは、アミューズメント関連の一つのみとなっており、他は軒並みTOPIXをアンダーパフォームしています。
新型コロナウィルスショックの影響で、当初予定していたオリンピックによる経済効果が望めなくなったわけですから、当然のことと言えるでしょう。
ただ、規模縮小になったとはいえ、中止にはなりませんでした。
そこで、中止論がくすぶる中、実際にオリンピック開催が織り込まれ始めた今年の3月(第3波と第4波の谷間)から直近までのパフォーマンスを再度グラフにしてみました。下の図2をご覧ください。

第4波の影響で5月のゴールデンウィーク明けまではオリンピック中止の可能性もあったわけですから、パフォーマンスも全ジャンルの関連銘柄において、TOPIXをアンダーパフォームしていました。
しかしその後、各地で発令されていた緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の効果や、ワクチン接種が全国に広まったおかげで、第4波が収束し、一気にオリンピック開催へと舵が切られました。それに伴い、関連銘柄のパフォーマンスも改善し始めました。
今後の展望は?
図1でも分かるように、コロナ後の状況として、オリンピック関連銘柄に期待されたオリンピック効果は表れてはいません。
しかし、前述の通り、これは当然のことであり、この事実だけを見て、オリンピック関連銘柄に買いは入らないと考えるのは、いささか軽率でしょう。
そこで重要視すべきものは図2で示したように、実際にオリンピック開催が決定的となったタイミングからの値動きかと考えられます。
もう一度、図2をご覧ください。
観光・旅行関連、スポーツ関連が、TOPIXを上回るパフォーマンスとなっております。中でもスポーツ関連は、既に今年の3月のから約10%もTOPIXをオーバーパフォームしており、これらの銘柄にオリンピック特需を意識した買い需要が起きていることが予想されます。
一方、開催されることにはなったものの、当初の想定を大幅に下回る観客数になる模様で、観光・旅行業界からすれば、少し想定外の面もあり、その結果、一時スポーツ関連銘柄を上回るパフォーマンスだったものの、その後調整局面となっております。
そして、このスポーツ関連銘柄への資金流入はオリンピック開催期間中は、まだ続くと考えられます。
バスケットの構成銘柄として挙げたスポーツ用品メーカーの商品を使った選手が活躍すれば、更なる上昇が見込めるでしょう。今から買っても良いかもしれません。
しかし、この動きは一過性であり、もし大きく上昇するようなことがあれば、利食い、或いはショートポジションを組成する良い好機になるかもしれません。
従って、単にオリンピックの開催日程だけをおさえておくのではなく、日本人選手が活躍しそうな競技の日程を細かくおさえておくことが肝要かと思います。
eワラントには、オリンピック関連銘柄を原資産とした商品も取り揃えておりますので、この機会にぜひ利用してみてください。
(eワラント証券 吉野 真太郎)
※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。