コロナウイルス問題の現状と「巣ごもり消費」関連銘柄

世界は新型コロナウイルス感染問題という新たな試練に直面しています。最近では、リーマンショック時とは逆で、実体経済の悪化が企業の信用不安に発展するという論調も見られるようになってきました。
各家庭で見ても、感染防止の観点から外出を伴う消費行動を抑制する風潮が増しており、実店舗を伴うサービス業や旅行業の事業者を中心に苦しい状況が続いています。


新型コロナウイルスにより企業業績の悪化懸念が高まる

新型コロナウイルスの中国以外の感染者数が、イタリアなど欧州で急拡大しており、中国以外が5割を超えてきました。WHOは「欧州がパンデミック(世界的な大流行)の中心となった」と話すなど、現在までのところ各国での感染拡大に歯止めがかからない状況です。


さらなる感染拡大防止のため、出入国管理の強化を進める動きもあります。トランプ米政権は欧州から米国への外国人の入国を禁止したほか、ドイツ政府は各国との国境管理を始め、明確な理由がなければ出入国を禁じるなど、これまでの国境封鎖に慎重であった方針を転換しました。

また、対国内においてもクラスター(=集団)による感染防止策を打ち出しています。米国ではトランプ大統領による「非常事態宣言」以降、早い対応がみられており、カリフォルニア州は高齢者に自宅にとどまるよう求めたほか、バーやレストラン、リゾート、小売りチェーンは営業を停止。ニューヨークやサンフランシスコなどでは、公立学校(幼稚園から高校まで)が休校となりました。イタリアは全国的な封鎖を開始、スペインは仕事と必需品の買い出し以外の国民の外出を禁止、フランス政府は全てのレストランとカフェ、映画館、必需品以外の小売店を閉鎖しています。

日本国内においても、既に学校の休校といった措置が取られているほか、不要不急の外出を避けるよう政府より要請が出ています。中国で感染が報告された当初は、中国内に製造工場やサプライチェーンを持つ企業に限り業績悪化懸念が広がっていましたが、このような状況の中で外食産業や百貨店など、内需企業へも広がりをみせています。

報道等でもリーマンショックと比べる向きが多いですが、新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるために人々や政府、企業が取っている現在の措置ほど、日々の商業活動を急激に落ち込ませたものはかつてなかったとみられ、景気後退(リセッション)は既成事実となりそうです。


金融市場はコロナショック状態

このような状況を受けて、株式市場においては、波乱の相場展開が続いています。16日の米国市場では、トランプ大統領が会見で、新型コロナウイルスによる危機が7-8月頃まで継続する可能性を警告すると、NYダウは一時3000ドルを超える下落となりました。日本においても日経平均はわずか10分程度で500円幅での乱高下をみせる局面もありました。これらは報道等を受けたAIアルゴリズム売買が発動したとみられています。

アルゴリズム売買が発達した現代の金融市場においては、今後も新型コロナウイルスに関連する報道や要人発言等によって大きく振れることが予想されます。13日や17日の米国市場のように一時的に大きくリバウンドする局面があったとしても、突発的な事象で大きく下げることも考えられ、しばらく警戒感は拭えないでしょう。

このような状況の中、各国政府や中央銀行による大規模な金融政策がとられていますが、これによる金融市場の安定化に向けた効果はある程度期待されます。しかし、ウイルスの感染拡大が鈍化し、より効果的な抑え込みが可能になったとしても、多くの活動が一気に回復するといった見方は期待しづらいところでもあります。回復が勢いづくのは、ワクチンや治療薬が開発され、広く普及してからになりそうですので、リセッションが長引く可能性は意識しておきたいところでしょう。


トレンドワード「巣ごもり消費」に関連する銘柄をピックアップ

不要不急の外出抑制の動きが強まる中、世界各国で「巣ごもり消費」に関連する企業に注目が集まっています。例えば、米アマゾン・ドット・コムは、米国内の物流拠点や小売店で新たに10万人を雇用すると発表しています。これはネット通販や食料品の宅配サービスの需要が高まっていることが背景です。

国内においても食品のデリバリーが人気を博しており、地域や店舗によっては1時間を優に超えるような待ち時間も発生しています。また、従来の外食産業においても、デリバリーの強化を進めており、ファミレスや各種専門店など大手外食チェーンでも出前の弁当を扱っています。

また、消費者は長期戦に備え、保存の効く食品の購入が増えているようです。コンビニではレンジで温めて食べる保存できるお米やレトルトカレーが大量に並んでいます。

こういった宅配、宅食、内食、通販等に関連する企業の株式、いわゆる「巣ごもり消費」関連銘柄は、現在のリスク回避姿勢の中においても、選好されやすいかもしれません。

「巣ごもり消費」関連銘柄の例
(3038)神戸物産 {業務用食品スーパーを全国展開}
(3094)スーパーV {食品スーパーとホームセンター}
(3222)USMH {食品スーパー最大手}
(8267)イオン {総合スーパー}
(3382)セブン&アイHD {コンビニ}
(3938)LINE {LINEデリマ}
(9064)ヤマトHD {宅配大手}
(2484)出前館 {出前仲介サイト}
(2871)ニチレイ {冷凍食品}
(2897)日清食品 {即席麺大手}

(AMZN)アマゾン
(BABA)アリババグループHD


(eワラント証券 投資情報室長 多田 幸大)

* 本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。