コロナショックにも動じないキャッシュリッチ企業に要注目

米国市場では引き続き、サーキットブレーカーが発動する状況が頻繁にみられていますが、一方で、日本株市場においては日銀が株価指数連動型上場投資信託(ETF)の買い入れ額を約2,000億円に増額しているほか、一部年金による比率調整に伴う買い入れ、3月期末においては配当再投資に伴う需給などが日経平均を売り込みづらくさせている面が強そうです。最近のヘッジファンドの解約・解散に伴うアンワインド(保有ポジションの解消)や年金のリバランス等、規模の大きな投資家の動きや日銀のETF購入増額に伴う動きなどが複数重なったことが相場を大きく変動させているようです。


風向きにはやや変化も警戒感は残る

さて、23日の日本時間の早朝において、シカゴ日経225先物は一時15,060円まで下げる局面もみられましたが、日銀の金融政策等の需給要因によって、いったんはこの幻の15,060円が、目先の底入れとして意識されている状況です。また、ソフトバンクグループ<9984>は23日、最大で4兆5,000億円分の巨額の資産を売却し、負債の削減などに充てる方針を明らかにしました。負債の削減を通じて財務を強化すると明らかにしており、市場の懸念をぬぐい去れるようだと、こちらも投資家のセンチメント改善に繋がってくることが期待されます。

しかしながら、新型コロナウイルスの感染拡大の影響はやはり大きく、世界経済がストップしている状況の中、業績予想の下方修正も目立ち始めています。また、株主優待を止めるほか、配当予想を減額修正する企業もあります。新型コロナウイルスの影響が長引く中で、通期業績予想の下方修正が今後も相次ぐことにもなりそうです。さらに、3月期末までは需給要因が相場を下支えする状況ですが、4月の新年度以降については不透明なところでもあり、足元の上昇においても、過度な楽観視はしづらいところでしょう。


キャッシュリッチ企業に関心が集まるか?

こういった状況の中では、キャッシュリッチ企業に市場の関心が集まりやすいと考えられます。細かい定義はいくつかあるかと思いますが、キャッシュリッチとは、手元流動性(現金・預金+有価証券)から有利子負債を差し引いたネットキャッシュがプラスである企業を指します。マーケット環境が良いときには、キャッシュリッチ企業は保有する現預金を有効に活用していないとされていました。しかし、今回のような景気後退が警戒されている中では、キャッシュリッチ企業が相対的に、こういった状況を乗り切る余裕があると考えられます。株価が急落する中でM&Aの対象にもなりやすい他、自己防衛力として自社株買い等に振り向ける、株主をつなぎとめるための増配など株主還元策を行う可能性などもあるでしょう。

なお、自社株買いは株主資本(自己資本)の削減につながり、ROE(自己資本利益率)を高める効果があります。企業の収益性判断の指標として、機関投資家等が重要視しています。足元で一気にアンワインドの流れが強まったことにより、投信保有比率や外国人保有比率なども大きく変化している可能性があります。市場が明確に冷静さを取り戻すには時間を要すると考えられますが、先行きを見るうえで、キャッシュリッチ企業やROE等に着目しておくのも良いと考えられます。


キャッシュリッチ企業をピックアップ

企業の時価総額に対するネットキャッシュの割合を示す計算式は、「ネットキャッシュ÷時価総額」となります。例えばネットキャッシュ比率が100%以上であれば、時価総額を上回る現預金を保有していることになりますので、好財務体質とみられます。

下表は上場している企業のうち、ネットキャッシュ上位でROEの高い銘柄をピックアップしたものです。ネットキャッシュ比率が100%以上の銘柄では銀行が上位に顔を出してきますので、銀行を除いているほか、時価総額100億円以上、5,000億円以下としています。また、ROEについては最低8%とみられていますが、今後の企業努力を期待して5%以上の銘柄を以下に挙げました。

KNT-CTホールディングスは近畿日本ツーリストを中核とする旅行会社の大手であり、今回の新型コロナウイルスの影響は相当大きいと見られます。業績不安は大きいですが、ネットキャッシュ比率は262.6%と高く、財務面での不安は低いでしょう。

また、上記のうちイオンフィナンシャルサービス(8570)はeワラントの対象にもなっています。eワラントを通じて小額からキャッシュリッチ企業に投資をしてみても良いでしょう。
イオンフィナンシャルサービスを対象とするeワラント

また、上記のスクリーニング条件において外しています銀行株については、以下のようになります。市場に落ち着きがみられてくる局面においては、こういった企業に着目し、追証がなく、買付代金を超える損失が発生しないeワラントを活用して狙ってみる戦略も有効かもしれません。
みずほ FGを対象とするeワラント
三井住友 FGを対象とするeワラント
三菱UFJ FGを対象とするeワラント

(eワラント証券 投資情報室長 多田 幸大)

* 本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。