市場全体のリスクを排除する

突然ですが、皆様が投資をする目的は一体なんでしょうか。日本証券業協会が2019年に実施した個人投資家の証券投資に関する意識調査によると、有価証券への投資について検討したり、興味・関心を持ったりしたきっかけは、「今の収入を増やしたいと思った」が全体37.2%と最も多く、「株主優待があることを知った」が35.5%と続きます(複数回答可)。

投資を始めたきっかけに関しては株主優待が比較的多いようですが、投資方針を見てみると回答者の48.4%と半数近くが「概ね長期保有だが、ある程度値上がり益があれば売却する」と回答しています。「値上がり益重視であり、短期間に売買する」と答えた14.2%も含めると全体の6割超が売却益を重視しているのに対して、「株主優待を重視している」と回答したのは12.3%にとどまっています。投資を始めるきっかけとしては株主優待が多いものの、実際に投資をしていくと売却益を狙う方が増えるようです。

その利益、本当に銘柄選定が良かったからですか?

株式の買付・売却を行った場合、当然ですが売却価格が買付価格を上回った分だけ利益が、下回った分だけ損失がそれぞれ発生します。例えば、1株1,000円で買い付けた株式を1株1,060円で売却できれば、投じた金額に対して6%の利益を得られることになります(手数料を除く)。

ただ、こうした利益のうちどの程度が銘柄固有の事情(決算やIRなどの材料)によるものなのでしょうか。市場全体が値上がりしたときには、その影響からこの銘柄も少なからず値を上げることが一般的です。たとえ株価が6%上昇していたとしても、市場全体(日本株の場合、代表的な株価指数である日経平均やTOPIX(東証株価指数)など)がそれを上回る値上がりを見せていた場合、わざわざ銘柄選定の手間をかけずとも、これらを対象とする投資信託などに投資した方が高いパフォーマンスを得られることになります。逆に、銘柄自体は魅力的だったものの、市場全体が大きく下落してしまい、結果として連れ安となってしまい損失が発生するということもあるでしょう。

つまり、銘柄選定が成功だったかを判断するには、銘柄単体のパフォーマンスと市場全体のパフォーマンスを比較する必要があるといえます。こうした市場全体の変動による影響をできる限り排除し、銘柄単体の事情が株価に与える影響のみを考慮して運用を行おうという考え方をマーケット・ニュートラルといいます。

市場全体の影響を極力排除する

では一体どうやって市場全体の変動による影響を排除すればいいのでしょうか。答えは簡単で、買いポジションに対して、市場全体を売ればいいのです。もちろん市場全体を売るのは困難ですので、株価指数先物などを代用する方法があります。日本株を例にとると、時価総額の8割超を占めるTOPIXを対象としたTOPIX先物などを株式の買付額と同額売り建てればいいのです。

市場全体が上昇した場合、先物などの売りポジションでは評価損が発生しますが、銘柄の評価益が発生します。銘柄のパフォーマンスが市場全体(TOPIX先物の場合はTOPIX)のパフォーマンスを上回れば全体として利益が発生し、下回ってしまうと損失が発生することになります。ここだけみると株式の利益をただ減らしているだけにみえるかもしれません。


しかし、逆に市場全体が下落した場合には先物などの売りポジションで利益が発生して、銘柄の評価損をカバーしてくれます。銘柄選定が成功していれば、市場全体を相対的に上回るパフォーマンスを発揮しているはずですので、下落相場でも利益を上げることが出来るというわけです。


厳密には銘柄によって市場への感応度が異なるため、過去一定期間のパフォーマンスを基に感応度を算出してポジション全体でバランスをとる必要がありますが、基本的な考え方は上述の通りです。

eワラントでは日経平均のほか、韓国の代表的な株価指数である韓国200種株価指数も対象原資産となっています。韓国では新型コロナウイルス治療薬開発競争のなか、バイオ医薬品生産受託大手のサムスンバイオロジクスが欧米からの大型受注が続き、株価は昨年末の2倍近くまで上昇しています。こうした銘柄を狙う際には、eワラントのプット型を活用してマーケット・ニュートラルを意識してみるのも面白いかもしれません。


(eワラント証券 投資情報室)

* 本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。