指数の入れ替えを考える

日本経済新聞社は9月1日、日経平均株価(以下、日経平均)の銘柄定期入れ替えの詳細を発表しました。10月1日より算出対象から日本化薬(4272)が除外され、新たにソフトバンク(9434)が採用されます。日経平均の構成銘柄は年に1度の定期入れ替えのほか、上場廃止や市場変更などで欠員が生じた場合に臨時入れ替えが行われています。

日経平均に新たに採用される場合、指数に連動した運用を目指すパッシブファンドによる買い入れが行われるため、株価が大きく上昇する可能性があります。


まもなく入れ替えが発生する可能性

伊藤忠商事(8001)は8月25日、ファミリーマート(8028)に対するTOBが成立したことを発表しました。同TOBは上場廃止を前提としているため、ファミリーマートは上場廃止になる見通しです。ファミリーマートが上場廃止となった場合、日経平均の構成銘柄に欠員が生じるため、臨時入れ替えが行われます。

日本経済新聞社は6月に構成銘柄選定基準を改訂しました。今回の改訂では臨時入れ替え基準の除外事由や入れ替え実施時期の変更が行われています。除外事由については整理ポスト・監理ポストの表現が整理銘柄・監理銘柄に改められたほか、監理銘柄の原則的な扱いが変更されました。

また、臨時入れ替えの実施時期については、これまでは倒産等の除外事由が突発した場合を除いて発生日を原則としていましたが、今回の改訂で除外事由ごとに実施日までの期間が具体化されることになりました。

今回はファミリーマートが上場廃止を前提としたTOBへの賛同を示した時点で監理銘柄(確認中)に指定されています。監理銘柄の扱いについては変更が加えられたものの、「上場廃止の可能性がきわめて高いと認められる場合」に該当するため、おそらく入れ替え実施日の2週間程度前に発表が行われることになります。


臨時入れ替え時の採用基準は?

では、ファミリーマートが除外された場合、一体どんな銘柄が採用されるのでしょうか。日経平均の算出要領では、「高流動性銘柄群」に含まれる銘柄の中から、当該除外銘柄と同一セクターに属する銘柄のうち、市場流動性順位が高い未採用の銘柄を補充することを原則とする」としています。この「セクター」とは、日経業種分類(36分類)を、技術、金融、消費、素材、資本財・その他、運輸・公共の6つに集約したものです。ファミリーマートが属する消費セクターには、水産、食品、小売業、サービスが含まれています。また、「高流動性銘柄群」とは、過去5年間の売買代金と過去5年間の売買高当たりの価格変動率の両指標から見て上位450に属する銘柄グループであるとされています。

まずは過去5年間の売買代金を見てみると、任天堂(7974)が圧倒的に多く、オリエンタルランド(4661)やZOZO(3092)などが続きます。


では、価格変動率を考慮すると一体どうなるのでしょうか。売買代金上位かつ価格変動率上位(各20位まで)を抜き出すと、次の図のようになりました。


やはり価格変動率でも上位にランクインした任天堂がやはり圧倒的な数値ですが、すかいらーくHD(3197)やカカクコム(2371)など少し顔ぶれが変わっていることがわかります。

ここまで圧倒的だと任天堂一択に見えてしまうかもしれません。ですが、指数へのインパクトを考えた場合はどうでしょうか。値がさ株の任天堂を採用した場合、みなし額面にもよりますが日経平均に占めるウェートが偏る可能性もあります。また、日経平均と連動した運用を目指すパッシブファンドは、単にファミリーマートの売却額に応じた額の新規採用銘柄を買い入れるわけではありません。株価の高い任天堂が採用されれば、ほかの224銘柄を売って任天堂を買う必要性が出てきます。この売却が日経平均を下落させる要因にもなりうるのです。

とはいえ、現時点でもファーストリテイリング(9983)やソフトバンクグループ(9984)など日経平均のウェートが高い銘柄は存在しますので、任天堂の採用を否定する理由にはなりません。こうした点を考慮しつつ、採用銘柄を考えてみるのも面白いかもしれません。


(eワラント証券)

* 本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。