指数構成銘柄入れ替えの概要と両建て戦略

日経平均株価(以下、日経平均)を算出・公表する日本経済新聞社は10日、同指数の構成銘柄から、千代田化工建設(6366)を除外し、新たにバンダイナムコHD(7832)を採用すると発表しました。翌11日のバンダイナムコHDはストップ高となる一方で、入れ替え候補と目されていたDMG森精機(6141)は急落しました。

日経平均やTOPIXなどの指数を構成する銘柄の入れ替えが行われると、これと連動した運用を目指すパッシブ(指数連動型)ファンドは、新たに採用される銘柄を買う必要が出てきます。発表から実際に入れ替えが行われるまでには時間差があるため、入れ替え候補と目される銘柄にはパッシブファンドによる買い需要を見込んだ先回り買いが向かうことがあります。

一方で、DMG森精機のように選定されなかった銘柄は、正式発表後に期待の剥落による売りが出ることが多いようです。

こうした指数構成銘柄の入れ替えに関連した売買について、どちらに動くか分からないけれども、どちらかに大きく動く可能性がある、という場合にはeワラントを活用することで相場の上下を予想せずに利益を期待することができます。

構成銘柄の入れ替え

では、こうした指数構成銘柄の入れ替えはいつ行われるのでしょうか。日経平均の場合、同指数を算出・公表する日本経済新聞社が1年に1度定期見直しを行っているほか、上場廃止や市場変更などで構成銘柄に欠員が生じた際に臨時入れ替えが行われています。

同社によると、定期見直しでは産業構造の変化を織り込むためにセクター間の銘柄数バランスを加味しながら「市場流動性」の高い銘柄を採用、低い銘柄を除外しているようです。一方、臨時入れ替えでは、除外銘柄と同一セクターに属する銘柄から、市場流動性の高いものが選定されています。

直近では、19年3月に昭和シェルの上場廃止に伴い出光興産(5019)が、パイオニアの上場廃止に伴いオムロン(6645)が新たに採用されています。昭和シェルの上場廃止は出光興産との経営統合が理由のため、事業承継会社である昭和シェルが入替銘柄として採用されました。一方、パイオニアの除外の際には、同じ技術セクターから市場流動性の高いオムロンが新たに採用されました。

今回の臨時入れ替えを振り返る

今回の臨時入れ替えでは、原則に従い、除外される千代田化工建設と同一セクターである「資本財・その他」セクターから市場流動性の高い銘柄が新たに採用されることになりました。

この「セクター」とは、日経業種分類(36分類)を、技術、金融、消費、素材、資本財・その他、運輸・公共の6つに集約したもので、資本財・その他セクターには、機械、建設、造船、その他製造、不動産、輸送用機器が含まれています。

ここで、選定基準である市場流動性の高さを見てみましょう。まずは、「資本財・その他」セクターで過去5年(14年7月~19年6月)の月間平均売買代金でソートをかけると下記の銘柄が上位に来ました。

売買代金トップのSMC(6273)は、平均すると一カ月で1,800億円超の売買が行われています。売買代金は多いほど活発に売買が行われているということであり、流動性の高さに直結しているといえそうです。では、これらの銘柄について、市場流動性を測るもう一つの基準である「売買高当たりの価格変動率」をみてみましょう。

売買高当たりの価格変動率は、「(高値÷安値)/売買高」で算出され、この値が低いほど値動きが安定しているとされています。表をみると、売買代金上位の銘柄でも、売買高あたりの価格変動率には差があるようです。そこで、売買代金上位をベースに、売買高当たりの価格変動率上位(=売買高当たりの価格変動率が低い)と重複している銘柄を抜き出すと以下のようになりました。

売買代金と売買高当たりの価格変動率の2つを組み合わせると、バンダイナムコHDなどが上位にランクインすることがわかります。

投資シナリオ

今回の発表で、採用されたバンダイナムコHDが急騰、有力な入れ替え候補とみられていたDMG森精機は急落しました。次回の入れ替えは、10月前後に実施見込みの定期見直しですが、入替候補銘柄については同様の値動きが期待できそうです。

定期見直しでは、市場流動性の上位450銘柄を「高流動性銘柄群」とし、高流動性銘柄群に含まれなくなった構成銘柄があれば除外するとされています。そこで、現時点での構成銘柄の売買代金を集計すると、以下の銘柄が下位にランクインしました。

最下位のスカパーJSATHD(9412)の平均月間売買代金は約85億円と、採用が決定したバンダイナムコHDの約740億円と比べると少なさが目立っており、高流動性銘柄群から外れる可能性がありそうです。

同社が属する技術セクター内で入れ替えが行われると仮定し、大きな値動きが期待される候補銘柄群で両建て戦略を行うのも面白いかもしれません。

こうした指数構成銘柄入れ替えなどのように、結果によって相場が大きく動くかもしれない、というイベントがある場合、方向性を予想してレバレッジをかければ大きな利益の獲得を期待できますが、予想とは反対に大きく動いた場合には損失が大きくなるリスクがあります。さらに証拠金取引の場合は追証発生のリスクもあります。

そこで最大損失が投資元本までに限定されているeワラントを活用することを考えます。具体的にはコール型eワラントとプット型eワラントを両方とも買う両建て戦略です。コール型又はプット型のどちらかが大きく上昇することで、もう片方の下落を相殺します。eワラントは短期間で何割、何倍にも上昇することがある一方で、最大損失は投資元本までに限定されているため、コール型とプット型の両建てにより、トータルで若干の利益を狙う戦略が可能です。

両建て戦略のリスクとしては予想に反して相場がどちらにも大きく動かなかった場合であり、この場合は損失となります。採用期待の高そうな銘柄がどちらかに大きく動くと予想しているのであれば、eワラントの両建て戦略を試してみるのも一案でしょう。


(eワラント証券 投資情報室)

* 本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。