毎月1回!ボラティリティの回帰性に注目したプット型eワラントの活用例

株価や株価指数の変動性、いわゆるボラティリティは長期間上がり続けることはないですし、下がり続けていてもどこかのタイミングで急上昇することがあり、おしなべて見てみるとボラティリティは平均的な水準に回帰する性質があります。

本稿ではボラティリティの性質を活用した実践しやすいシンプルな投資手法について紹介します。

ボラティリティの性質

相場解説などで相場の変動が大きいときに「ボラティリティが高い」、相場の変動が小さいときに「ボラティリティが低い」というフレーズを聞いたことがあるという方は多いかと思いますが、ボラティリティとは相場の変動度合いのことを言います。

ボラティリティは数値で把握することもできますが、ボラティリティには大きく分けて二つの種類のボラティリティがあります。

一つは株価や株価指数など相場の過去の値動きから計算される「ヒストリカル・ボラティリティ」で、統計用語では標準偏差という数値で示されます。

もう一つは取引されているオプションの価格から計算される「インプライド・ボラティリティ」です。オプションの取引価格の算出には「インプライド・ボラティリティ」の数値が必要なので例えば、市場で取引されているオプションの価格から逆算することで、市場の「インプライド・ボラティリティ」を求めることができるのです。

「ヒストリカル・ボラティリティ」にせよ、「インプライド・ボラティリティ」にせよ、共通して言えることとして、「上がり続けることもなければ、下がり続けることもない」ということが言えます。

図1は日経平均株価の「ヒストリカル・ボラティリティ」の推移を示したもので、10営業日ごとに日経平均株価の変動率から求めた標準偏差(年率換算)を掲載しています。

参考までに同期間の「ヒストリカル・ボラティリティ」の平均(緑色の線)も掲載していますが、「ヒストリカル・ボラティリティ」が平均を中心に上下変動していることが分かります。

ボラティリティは上下変動することはありますが、元の水準に戻ってくるという性質があります。

eワラントを活用した投資戦略

ボラティリティそのものに投資できれば、ボラティリティが低い時期に買って、高い時期に売ることで投資収益を得られそうです。

ここでボラティリティのもう一つの性質として、ボラティリティは相場が急落する局面で上昇する傾向がある、という点にも触れておきます。

ボラティリティに直接投資することはできませんが、ボラティリティの上昇と相場の急落が同時に起こるのであれば、プット型eワラントを利用するのが理想的と言えます。

プット型eワラントは相場が下げれば下げるほど大きな値上がりを期待できるからです。

実践するにあたり、「ボラティリティが上がればよいのは分かったけど、ではいつボラティリティが上がるの?」という疑問を持つことになろうかと思いますが、ボラティリティの上昇タイミングをピタリと予想するのはとても難しいのが実情です。

そこで本稿では「毎月1回、日経平均株価のプット型eワラントを買って、機械的に1カ月後に売却するという投資戦略を提案します。

図2のように、株価水準に関係なく毎月1回買いますので、ボラティリティの上昇タイミングを狙わなくても良く、eワラント初心者でも実行しやすいシンプルなものです。

過去の投資成績とタイミングに関するポイント

図2の期間で実際のeワラントの取引価格を元に、この投資戦略で投資してみた結果をまとめたのが表1です(売買スプレッドも考慮しています)。

利用したプット型eワラントは、各買付日時点で満期日までの期間がなるべく短く(ただし、満期日までの期間が1カ月以上あること)、権利行使価格は投資時点の日経平均株価に近い銘柄を選ぶ、という条件を満たす銘柄です。

買ってから翌月の買付日まで保有し、翌月の買付日で今まで保有していたプット型eワラントを売却(手じまい)して新たにプット型eワラントを買います。

表1を見ると毎月この投資戦略を続けていたら投資収益率の平均はマイナスとなってしまいました(表1の①)が、2018年3月30日、2018年10月31日、2018年12月28日を除いた場合、つまり、これらの日に買付を見送っていた場合には16.2%という成績になっていました(表1の②)。

実は2018年3月30日、2018年10月31日、2018年12月28日はボラティリティが高くなっていた時期なのです。

そこで投資成績を改善する1つのポイントとして、ボラティリティがすでに高くなっている場合は様子見して買付を見送る、を付け加えます。

ボラティリティは元の水準に戻る性質がありますので、ボラティリティがすでに高くなっている場合は、プット型eワラントを買ってボラティリティの上昇を狙う必要はないからです。

図3は図1に買付日を加えたものですが、日付が赤くなっているところはボラティリティが過去に比べて大幅に高くなっていた日です。

表1の「②ボラティリティ上昇期間を除く」は図3で日付が赤くなっていたときに買付を見送ったときの投資成績です。

「ボラティリティがすでに高くなっている場合は様子見」とすることで投資成績の改善を期待できるかもしれません。

ところで、表1で収益率がプラスとなった月を見てみると、プラスの収益率が非常に大きくなるときがあることが分かります。

この投資戦略の特徴はプラスになる確率は高くないけれども、プラスとなる場合には大きな収益率を期待することができる点にあります。

マイナスの収益率が何カ月も続くことがありますので、一度にまとまった金額を投資するのではなく、資金を分けて継続的に買えるようにすることがポイントです。

まとめ

最後にこれまでの内容をまとめます。

まず、ボラティリティの特性です。

  • 上下変動するが、元の水準に戻る
  • 相場が急落する局面で上昇する傾向

次に投資戦略です。

  • 毎月1回、日経平均株価のプット型eワラントを買って、機械的に1カ月後に売却する
  • 満期日までの期間がなるべく短い銘柄(ただし、満期日までの期間が1カ月以上あること)
  • 権利行使価格は投資時点の日経平均株価に近い銘柄

実践におけるポイントとしては、

  • ボラティリティがすでに高くなっている場合は様子見して買付を見送る
  • 一度にまとまった金額を投資するのではなく、資金を分けて継続的に買えるようにする

となります。

ボラティリティの水準は、SBI証券ホームページの日経平均VI(インプライド・ボラティリティから算出される指数)やeワラントジャーナルの「マーケットデータ(日本関連)」(ヒストリカル・ボラティリティ)などで見ることができます。


(eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎)

* 本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。