2016年のブレグジット国民投票と両建て戦略の振り返り

英国が欧州連合(EU)を離脱する2019年3月29日まで1週間となりましたが、本稿執筆時(3月20日)においては離脱日の延期が本当に行われるのか予断を許さない状況です。

仮に離脱日の延期がEUに承認されない事態が発生すると、いわゆる「合意なき離脱」となることが想定され、英ポンド相場が大きく下落するかもしれません。

一方で、離脱日の延期がEUにも承認されれば英ポンドがさらに買い戻される可能性もあることから、英ポンド相場が上下に大きく動く可能性があります。

ブレグジットを巡る状況の整理

3月12日、英国議会はメイ首相の離脱協定案の修正案を反対多数で否決しましたが、これはおおかたの予想通りの結果でした。

3月13日、前日の結果を踏まえ、英国議会は「合意なき離脱」に反対する動議を賛成多数で可決しました。

3月14日、前日の結果を踏まえ、英政府は3月29日に予定されている離脱延期の動議を提出し、賛成多数で可決されました。

3月12日から3月14日までの一連の流れは予想されていた通りのもので、英ポンド相場は離脱延期を織り込んで上昇しました。


しかし、延期には英国のほかのEUに加盟する27カ国すべての同意が必要ですので、3月29日に「合意なき離脱」となる可能性は完全に消えたわけではありません。

3月21日から22日にかけてEU首脳会談が行われますが、EUの首脳が離脱期限の延長について最終決定を見送る可能性に言及したという報道もあり、情報が交錯しています。

英ポンド相場に大きな変動があると見込むなら?

3月29日までに英国が、各国から離脱期限の延期の承認を取り付けられることができれば「合意なき離脱」のリスクがいったん遠のくことから、英ポンド相場は急騰するかもしれません。

一方で、英国が「合意なき離脱」を回避できない状況になると、離脱延期を織り込んでいた英ポンド相場は急落するかもしれません。

このように相場がどちらに動くか方向性は予想しにくいけれども、大きく動くかもしれないと予想される場合はeワラントのコール型とプット型を両建てすることを考えてみましょう。

eワラントの両建て戦略は、相場が短期間で急変すると価格が大きく上昇することがあり、一方で最大損失は投資元本までに限定されているeワラントの特長を活かせる投資戦略です。

2016年の英国の国民投票時を振り返る

ブレグジット騒動の発端となった2016年6月の英国の国民投票では英ポンドのコール型とプット型の両建て戦略が機能しましたので、当時を振り返ってみます。

2016年6月20日(月)、日本時間午前9時の英ポンド対円相場は152.6円前後でした。

特定の短期イベントを狙う両建て戦略においては、相場水準に近い権利行使価格の銘柄で、満期日までの残存期間がなるべく短い銘柄を選択します。

当時、英ポンド安型(英ポンドリンク債プット)277回と英ポンド高型(英ポンドリンク債コール)305回がこの条件に近い銘柄でした。

図2はこの2銘柄について、6月20日から23日は販売価格(売気配値)始値を、投票結果が判明した24日は15:15時点の買取価格(買気配値)を取ったものです。


仮に6月20日にこのコール型とプット型にそれぞれ50万円程度となるように数量を調整して投資し、6月24日の15:15に売却していたら損益がどうなっていたかというと、

コール型 -412,800円
495,360円(=5.16円×96,000ワラント)が82,560円(=0.86円×96,000ワラント)

プット型 +599,040円
493,200円(=6.85円×72,000ワラント)が1,092,240円(=15.17円×72,000ワラント)

となっており、英ポンド対円相場が急落したことで、プットが急騰し、コールが急落しました。

eワラントの最大利益は無限大(コールの場合)で損失は投資金額までに限定されているので、プットの上昇分でコールの下落分を埋め合わせ、合計で+186,240円となりました。

さて、離脱期限の3月29日まで英ポンド相場が大きく動くと予想するなら、過去の例のように英ポンド対円相場に近い権利行使価格のコール型とプット型の両建て戦略を検討してみてはいかがでしょうか。

両建て戦略は相場が上昇・下落、どちらかに大きく動く場合に有効であり、相場が大きく変動しない場合は、保有銘柄が目減りして損失が発生しますので注意が必要です。


(eワラント証券 投資情報室)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。