3月9日発表の雇用統計は要注意! そのポイントと銘柄例

 米国の労働市場に目をやると、リーマンショック後の2009年10月に10.0%とピークをつけた米国の失業率は、堅調な経済成長の中で減少を続け、2月2日に発表された1月の雇用統計時点で4.1%と完全雇用に近い状況に達しています(図1)。9日に公表される2月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比+19万人、失業率が前月同様の4.1%と予想されています。ただし、前述の通り完全雇用に近い状況であることや、季節要因、同指標が頻繁に訂正されることを鑑みると、雇用者数に多少のぶれが出たとしても相場に与える影響は限定されるかもしれません。
 より注目を集める可能性が高いのが賃金です。FRBが目標とする2%のインフレ率を達成するためには、前年比3%程度賃金上昇が必要とされています。賃金の上昇率が安定して3%に近い水準またはそれを上回る水準を維持していることが明らかとなれば、インフレ率の上昇が鮮明となり、過度のインフレを抑制するためにFRBの利上げペースが上昇する可能性があります。米国の賃金は右肩上がりに上昇を続けていますが、1月の雇用統計では前年同月比で2.9%と目標達成に必要な水準に近づいており(図2)、市場関係者にとって早期の利上げを想起させることとなりました。その結果、米長期金利が急激に上昇し、それを嫌気した投資家の売りで株式相場が大きく下落したことはご記憶のとおりです。

雇用統計を利用したイベント投資

 相場の急騰・急落があると考えるのであれば、雇用統計の発表前にeワラントを買い付けておくという投資戦略が有効となるかもしれません。eワラントはレバレッジが効いているので、雇用統計の発表後に相場が予想どおりの方向に大きく動いた場合には大きなリターンが得られる可能性がある一方、証拠金取引ではないので予想が外れても追証を請求されることはありません。また、強制ロスカットもないので、相場が急変しても自動的に損失が確定することもありません。ただし、投資元本が0になる可能性はありますので資金は管理可能な範囲内に留めておいたほうがよいでしょう。
 eワラントで雇用統計を利用したイベント投資を試すのであれば、以下のような手順で銘柄を選んでみると良いでしょう。

  1. 対象原資産

 対象となる相場としては米ドルが第一候補となるでしょう。米ドルと米国長期金利は強い相関があることが知られており、米国の金利動向に影響を与えることの多い雇用統計では最も影響を受けやすい相場の1つと言えるかもしれません。ただし、昨年末以降、米ドル対円相場と長期金利の相関が崩れている点には注意が必要です(図3)。また、前回同様に株式相場が急変すると予想するのであれば、日経平均やダウを対象としたeワラントも候補になります。

  1. コールorプットor両建て

 投資となる相場の上昇を予想するのであればコールを、下落を予想するのであればプットを選びます。イベントを利用して短期投資をする場合には、満期までの残存期間が1ヶ月を切っていて、コールの場合は権利行使価格が相場水準よりもやや高い(プットの場合はやや低い)銘柄を選びます。予想通り相場の上昇(プットの場合は下落)があれば大きなリターンが得られる可能性はありますが、予想が外れたり、あまり動かなかった場合には損失が発生する恐れのあるハイリスク・ハイリターンの投資になります。

 一方で、前述のように、雇用統計の結果やその後の市場の反応を予想するのは難しいという場合、満期日が等しく、権利行使価格が相場水準に近いコールとプットを両方とも買付けるという戦略も可能です。相場が大きく動けば、上昇した銘柄の利益が下落した銘柄の損失と相殺して、合計数%の利益を狙えるという投資戦略です。相場の動きが小幅に留まった場合は損失となります。

 3月1日現在であれば以下のような銘柄が候補になります。イベント直前の相場水準に合わせて銘柄をご検討ください。

コール
米ドル ドル高(コール)型 899回 満期日:4月11日 権利行使価格:108円
日経平均 コール 1137回 満期日:4月11日 権利行使価格:22,500円
ダウ・ジョーンズ工業株価平均 コール 367回 満期日:4月11日 権利行使価格:25,500米ドル
プット
米ドル ドル安(プット)型 782回 満期日:4月11日 権利行使価格:104円
日経平均 プット 第887回 満期日:4月11日 権利行使価格:20,500円

(eワラント証券 投資情報室次長 多田 幸大)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。