eワラントとCFDを組み合わせた投資戦略例

最大損失が買付金額までに限定されている一方で、相場が急変した場合には大きな値上がり益が期待できるのがeワラントのコール型とプット型の特長です。この特長を活かしてCFDやFX、先物取引と組み合わせると相場の方向性ではなく、相場が大きく動くかどうかという変動性を収益の源泉とする投資戦略も可能です。本稿では日経平均を対象にコール型eワラントとCFDを組み合わせる投資戦略を紹介しています。

年後半には米国の大統領選挙が予定されており、国内でも解散総選挙の可能性が取りざたされています。選挙や政治イベントのような相場が大きく動く傾向があるイベント時に効果を発揮する可能性がありますので、ぜひご参考になさってください

なお、eワラント証券では店頭CFD取引サービス『eワラントCFD』を開始いたしました。eワラント証券1社に口座開設をいただくことでeワラントとCFDのどちらもお取引いただくことが可能です。この機会にeワラント証券の口座開設を是非ご検討ください。口座開設はこちら


eワラントの値動きは直線的ではない

図1の横軸は日経平均株価、縦軸は日経平均を対象とするコール型eワラント(日経平均 コール 1732回)の価格を示しています。青色の線は2020年7月9日時点で、時間経過を考慮せず、日経平均の相場水準ごとに試算したeワラントの価格(点)を結んだものです。試算価格はeワラントホームページのシミュレーターで計算したもので、他の条件は次の表の通りです(シミュレーター設定条件:円金利0%、予想配当利回り0%)。

日経平均 コール 1732回(2020年7月9日時点)
日経平均参照原資産価格22442.30
満期日2020年8月12日
デルタ0.52
1ワラント当たりの原資産数0.002

デルタは各eワラントの銘柄詳細ページをご覧いただくと表示されています。デルタはeワラントの対象となっている相場(対象原資産、この例では日経平均)に対する連動率のことを言います。例えば、デルタが1であれば、対象原資産が1円動いたら、対象原資産1単位当たりでこのeワラントの価格は1円動くということになります。

図1には2020年7月9日時点の取引価格を起点に、デルタ0.52を用いて日経平均がいくら動いたらいくら上がる、下がるという関係の直線を黄色で加えています。図1から分かることとして、試算時の相場から大きく動いた場合には黄色の線と青色の線が離れてズレが生じていることが分かります。eワラントの価格を示す青い線は曲線であり、黄色の直線の関係にはなっていません。デルタはeワラントの価格の曲線を直線で似せた(近似させた)ものであるからです。


CFDを利用して直線とのズレを抽出する

図1のズレを見るとeワラントの価格の青色の線は黄色の線より上側にあることが分かります。黄色の線は相場変動のリスクそのものですから、青色の線から相場変動のリスクを取り除けばこのズレを取りに行くことができるかもしれません。このズレを狙う戦略をデルタヘッジと言います。具体的にはコール型eワラントの買いとCFDの売り建て、又はプット型eワラントの買いとCFDの買い建てを組み合わせます。

図2は日経平均のコール型eワラントを保有するのと同時に、デルタ分に相当する日経平均をCFDによって売り建て(ショート)することをイメージしたものです。

ではどれだけのポジションをCFDで構築すればよいかと言うと、冒頭で紹介したデルタを用いて計算します。デルタは対象となっている相場に換算するときの指標とも言え、この例の時点でデルタ0.52ですので、このコール型eワラントの1ワラント当たりですと、0.52×0.002(=1ワラント当たりの原資産数)分の日経平均を保有しているのと同等のリスク量になります。

仮に、例に用いている日経平均 コール 1138回を200,000ワラント保有した場合、デルタヘッジを行うには何個分の日経平均をデルタ換算で保有しているかを考える必要があります。例では200,000ワラント×0.002(1ワラント当たり原資産数)×0.52(デルタ)=208となりますので、理論的には208個分の日経平均を売り建てすればよいことになります。実際のCFDの取引において1Lotが日経平均の100倍であれば、208個÷100倍=2.08Lotを売り建てればいいことになります。※eワラントCFDは0.01Lot(日経平均の1倍)から取引いただくことが可能です。


デルタを相殺して相場変動を狙う

図3の青色の線は例に挙げたeワラントをCFDでデルタヘッジしてズレを抽出したものです。ズレの部分は曲線的で、相場の方向性は関係なく、どちらかに大きく動けば利益が狙えることが分かります。相場が大きく上昇した場合はコール型eワラントの値上がり益を狙い、相場が大きく下落した場合はCFDの売り建てポジションで利益を狙います。相場が大きく変動して含み益となったら、いったんeワラントもCFDもポジションを決済して再度新規のデルタヘッジのポジションを構築するか、又は相場の変動がまだ続くと予想するならeワラントのポジションは変えずに変化したデルタの値に応じてCFDのポジションを調整しても良いでしょう。

ただし、リスクもあります。一般的にeワラントのコール型やプット型は時間経過によって価格が目減りしていくので、相場が変動しない局面では不向きな戦略と言えるでしょう。図3の赤色の線は青色の線から他の条件を変えずに時間だけ経過させた場合です。時間経過による目減りの影響を軽減するためには、ごく短期間のうちに相場が大きく変動することを想定した時に用いやすい戦略と言えるでしょう。冒頭でご紹介した選挙や政治イベントは予め日程が決まっていて、その結果如何で相場が大きく動くことがあるため、この戦略に向いた投資タイミングと言えそうです。

ただし、本稿においてはeワラントの買値と売値の価格差(売買スプレッド)や同日中の値動きの試算について相場変動以外のeワラントの価格決定要因が不変であるという強い前提を置いており、さらにCFDに係る手数料、証拠金維持率、金利相当額や配当相当額等は考慮されておりませんので、将来の投資成果を保証するものではありません。

なお、個人に係る税制に関してはeワラントとCFDは「先物取引に係る雑所得等」として申告分離課税の雑所得という扱いになります。eワラントはCFDと損益通算ができますので、この点はeワラントのデルタヘッジを行うメリットと言えるかもしれません。


(eワラント証券 投資情報室長 多田 幸大)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。